【ICT×学び合い(7)】学習者同士が学び合う環境

HILLOCK初等部カリキュラムディレクター 五木田洋平
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本連載ではこれまで、ICTの環境をつくっていくための考え方や、普段使いをするための簡単な方法などを紹介してきました。それらは全て、学習者同士が学び合い、気付き合い、ひらめき合う環境を整えるためです。今回からは、そんな事例の数々をお伝えしていきます。

まずは小学5年生の社会科の事例です。水産物を扱う単元において、水産物に関する一般的な用語を学習した後、児童一人一人が調べたい水産物を選び、それが名産として扱われる地域とその理由を説明する活動を行いました。この実践は「iTeachers TV」というYouTubeチャンネルでも紹介しましたので、ぜひご覧ください。

児童Aはイカについて調べ、青森と石川でよく取れることを知りました。その理由は(1)青森の近海は餌が豊富だから(2)産卵のために南下するから――です。その資料を見て、マグロについて調べていた児童Bは「マグロの餌はイカであり、イカが集まるところがマグロの漁場となっている」と考えました。なかなか適切な資料にたどり着けずに困っていたのですが、児童Aの資料を見てヒントを得たのです。

このような活動の後、「漁場」「潮目」といった抽象度の高い用語を説明することで、その子は深く理解することができました。もちろん、クラスの児童にもこのことは伝え、全体の知識にしました。

教科書にも「漁場」「潮目」といった用語は出ています。しかし、情報と情報、自分の知識と他人の知識がつながり合うことで仮説がひらめいたり、新しい発見をしたりしたときの知的な高揚感は、教科書だけでは味わうことができません。

また、生涯にわたって学習を続けていく上で、友人との学び合いを体験できるのも、学校という場だからでしょう。幼少期にこのような経験ができる機会をデザインすることで、その後の学びに対する姿勢や楽しみが変わってくるように思います。

この実践は社会科ですが、他の教科でも応用できますし、合科的な考え、教科横断的な学びにも必要な考え方です。社会で水力発電の仕組みを学ぶとき、理科で学んだ位置エネルギーの意味や磁界の意味とつながるような気付きを得られるのか、個別の知識として教え込むだけで終わるかは、教員の授業デザインによります。それは、前回までにお伝えした「学習者(子供、教職員)が知的に、ストレスなく、刺激的に学び合える環境」がつくられているか、そして教員自身がそのような学びの価値を理解しているかにかかっています。

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