【ICT×学び合い(8)】実践「ファクト&シンク」

HILLOCK初等部カリキュラムディレクター 五木田洋平
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今回は「ファクト&シンク」という実践を紹介します。この実践は、新渡戸文化小学校の沼尻淳先生から教えてもらった「スライドショーアプローチ」という手法を基に開発しました。

熊本地震の写真(出典:「平成28年熊本地震」(警視庁)

この実践では、学習者が①事実を見取る大切さ②事実を多角的な視点で見ることの大切さ③知識を得ることで視点が変わる実感――これらを得ることができます。

まず、単元に合った写真を一枚、学習者に見せます。今回は災害時の警察の働きを学ぶために熊本地震の写真を選択しました。学習者にはできるだけたくさん、写真から気付いたこと・事実(ファクト)を箇条書きにしてもらいます。読者の皆さんも、この写真から気付いたことを箇条書きにしてみてください。

3分ほど箇条書きの時間を設けたら、次に災害時の警察の働きを学習者に伝えます。その際は自身で説明をしても、NHK for Schoolなどの教材を使っても、教科書を読ませても構いません。手法はどうあれ、「災害時に警察は他県の警察や自衛隊などと連携を取って活動する」ということが伝われば問題ありません。

その上で、もう一度写真を見てください。熊本地震の写真なのに、「神奈川県警」とヘルメットに書かれていることに気付くはずです。この瞬間、「災害時に警察は他県の警察や自衛隊などと連携を取って活動する」という知識と目の前の事実がつながります。「地震が起こって土砂崩れが起きている写真」から「災害時に警察が他県の警察や自衛隊などと連携を取って活動している写真」に視点が変わるでしょう。

米国では美術教育の文脈で、VTS(Visual Thinking Strategies)という方法論が確立されつつあります。VTSの手法では、絵画を要素ごとに分けて観察するという考えの他に、要素同士の関係に着目することを大事にしているそうです。静止画と捉えず、どんな流れの中の一場面なのか、細かい視点からそれを想像するのです。

情報を口頭で、教科書で教えることは簡単です。しかし、「自分で気付く」という体験を通して、冒頭に挙げた①事実を見取る大切さ②事実を多角的な視点で見ることの大切さ③知識を得ることで視点が変わる実感を持つことができるのではないでしょうか。

このような活動を日頃からしていると、学習者はささいな点に着目し、得た知識を何かに生かそうという姿勢になります。そのような「学習者の身体」を育むという点からも、ICTは有効な道具として機能します。

※こちらの実践の詳細は、note記事に詳細をまとめました。ご覧いただけたら幸いです。

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