【発達障害の早期支援(8)】LDの新しい捉え方―Learning Differenceという考え方ー

ADDS共同代表 熊仁美
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近年、学習障害(LD)の従来の訳であるLearning Disabilitiesを、Learning DifferenceまたはLearning Diversity(学び方の違いや多様性)という言葉に読み替えようという動きが、支持を集めているようです。

ディスレクシア(読み書き障害)の支援に先駆的に取り組まれてきた認定NPO法人EDGEも、ホームページの「ディスレクシアって?」という記事の中で、「LD(learning disabilities―学習障害)というよりは学習の違い(learning difference)とエッジでは捉えています」と説明されています。

学習障害だけでなく、発達障害全般やその疑いがある全ての子供の支援に必要な読み替えとして、広がっていってほしいと思います。「障害」ではなく、学び方や発達の違い・多様性と表現することで、(1)子供がその子なりの方法で学び・発達する存在であること(2)学び方の違いや多様性を知るべき、変わるべきは、子供を取り巻く環境や人であること――という発想の転換ができると考えるからです。

支援を通じて、子供たちは一人一人、さまざまな発達を見せてくれます。その点だけでも、早期療育は重要だと感じますが、実はもっと大きな価値があります。それは、個別の「教える」やりとりの中で、その子の特性や得意な学び方を詳細に把握できること、そしてそれをその後の子育てや教育に長期的に生かしていけることです。

子供一人一人の学び方に合わせた関わりができれば、その子の保護者や他の支援者との相互作用が、ポジティブで豊かなものになっていくことにつながります。学習という言葉を広義で捉えれば、可能な限り早い段階で、個々の「学び方の違い」を見極めていくことが必要とされています。

現状では、一人一人の「Learning Difference」を見極める方法論やエビデンスが足りておらず、臨床的な専門知・職人技になりがちな状態です。まずは、客観的な記録を基にしたPDCA(Plan―Do―Check―Action)をしっかり繰り返していくことが重要です。教え方の違いによって、子供の学習への参加度合いや成績が変わるかを、記録を取りながら確認していくことが求められます。

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