【ICTと子どもの健康(3)】子どもの視力低下と目の疲れ

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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ICT活用における子どもの健康で特に懸念されるのは、視力の低下と目の疲れでしょう。毎年、学校保健統計調査の結果が公表されると、裸眼視力1.0未満の子どもが増加したことが話題になります。2020年3月公表の調査結果では、小学校で34.57%、中学校で57.47%、高等学校で67.64%といずれも過去最多となり、年々増加傾向にあります。

目、首、肩における疲労の学年による違い(柴田ほか, 日本人間工学会誌, 2019)

そうした状況に対して今年、大きな動きがありました。これまで、健康診断において視力検査が行われてきましたが、視力低下の原因が分かるような詳しい調査までは行われていませんでした。そこで今年、文部科学省が医療関係者等と協力して、視力低下の詳細(近視、遠視、乱視)を把握するための大規模な実態調査を始めました。全国の小学生、中学生を対象とした9千人規模の調査です。この調査では、近視の実態やライフスタイルとの関連等についても明らかにして、子どもの視力低下の予防に取り組んでいくとしています。

最近では、学校でのICT機器利用が増えたことやコロナ禍におけるオンライン授業の増加により、目の疲れが話題になることも少なくありません。実際の状況はどうでしょうか。視力の低下と同様に、実態を把握しなければ対策を講じるのも難しくなります。私は以前、小学校でタブレット端末を1年以上使用している児童830名を対象として、身体疲労に関する調査を行いました。その結果から、端末の利用により児童の3人に1人が目や首、肩などに身体疲労を感じていることが分かりました(図参照)。また、体の図が描かれた調査用紙に疲れ等がある部位をマークさせたところ、最も訴えの多かった疲労部位は目であり、約23%の児童からその訴えがありました。さらに、目の疲れについて小学4、5、6年生に分けて分析したところ、学年が上がるにつれて疲れを訴える率が上昇していました。

この調査結果は子どもたちの主観であり、端末を使うことで実際にどの程度の負担があるのかということまでは分かりません。しかし、疲れというのは主観的な評価が重要な側面があります。また、疲れを感じるということは体を休めるサインでもありますので、目の疲れを感じたら、休めるために遠くを見るなどの行動ができるようになっていくとよいと考えます。そうしたことも、子どもたちが自らの健康について自覚を持つということだと思っています。

さらに重要なことは、子どもたちに過度な疲労が生じないように利用の段階から配慮をすることです。具体的な対策として、目と画面との距離を30㎝以上離すことや、長時間の連続利用を避けて少なくとも30分に1回は20秒以上画面から目を離して遠くを見ることなどがありますが、詳しくはまた取り上げたいと思っています。

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