【発達障害の早期支援(9)】学びの多様性に対応するー具体的支援を考える

ADDS共同代表 熊仁美
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今回は、学びの多様性に合わせた具体的支援について紹介したいと思います。

「大」と「犬」の教材例

日常のコミュニケーションは、音声言語に偏ります。実際、学校では口頭での説明が占める割合が大きいでしょう。しかし、実際のコミュニケーションには、さまざまな刺激が含まれるので、子供に合わせて刺激を微調整してあげることが、学びの多様性に対応するためのヒントになります。

例えば、漢字の書き取りの反復練習を何度しても、なかなか習得できない子供がいます。本人も一生懸命取り組んでいるのですが、一画抜けてしまったり、似ているけれどちょっと違う形になってしまったり…。そうした場合に同じ方法で反復練習を繰り返させることは、学びの多様性に対応できているとは言えません。具体的に、「大」と「犬」を混同してしまう子供の例で考えてみましょう。

例えば、「大」と「犬」のカードを並べて、「犬」の点の部分だけ赤く色を付けた教材を使い、選んだり、読んだりする練習が挙げられます。これは視覚的手掛かりを活用した例です。

「犬を書くには尻尾がチョン」と、点の部分の形をフレーズで表現する練習をし、そのフレーズを言いながら書く癖をつけます。これは、言葉によって意味付けをする例の一つです。

療育実践では、他にも次のような事例があります。

・「コップ」と言われても選べない子が、「コップごくごく」というオノマトペを加えたことで途端に理解できた。

・スプーンでお豆を運ぶ活動は嫌がって手を付けなかった子が、カラフルなビーズを運ぶ練習に変えた途端に1日でできるようになった。

・スケジュールなどで見通しを示した途端に、落ち着いて学べるようになった。

少人数を前提とした療育ほどの密度では難しいと思いますが、日々の指導の中で、少しずつ指導の条件を変え、子供の反応がどうだったかを客観的に観察(可能であれば記録)していくことが重要です。

少しでも学びやすい方法を見つけられれば、「そろそろ行事だけど、動画を見て少し予習してから参加した方がいいかな?」「登校後の準備の練習に、文字のスケジュールを使ってみよう」「漢字の学習が始まるから、好きな駅名に絡めて教えてみよう」など、その後の学びにも、役立てることができます。教育のICT化が進みつつある昨今、個々のLearning Differenceを踏まえた教え方の個別最適化が、より一層求められることでしょう。

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