【ICT×学び合い(10)】真に学び合うべきは大人

HILLOCK初等部カリキュラムディレクター 五木田洋平
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全10回の連載を通して、学び合うこと、ひらめきや気付きを大切にすることを、具体と抽象を行き来しながら表現してきました。いかがだったでしょうか。

最後に、ICTとは別の角度から話そうと思います。第8回で紹介した「ファクト&シンク」という実践にも元々の種があったように、学び合いやひらめき、気付きを大切にする学びにも、発想の元になった考え(ヴィゴツキーのもろもろの理論)があります。また、事実を見取り、箇条書きにする手法は、杉渕鐵良先生の実践から影響を受けました。学び合い自体も降って湧いてきたものではなく、さまざまな現場でさまざまな角度から語られてきた歴史があります。

私の実践は、教えていただいたものを自分の持てる技術と合わせて、自分の目の前の子供たちに最適な形で表現しただけのものです。私自身の特殊な才能ではなく、脈々と流れる国内外の教育技術をリスペクトし、試行錯誤を繰り返し、それを今の文脈で表現した結果だと考えています。

もし、この連載を読んだ皆さんに伝わるものがあったとすれば、ルーツや大切にしていることが似通っているからなのかもしれません。そのような文字を通じての創発性も、知的生産のロマンです。自分のルーツは今の自分を(良くも悪くも)形成しています。それらを見返し、自己理解を深めていくことこそが、自分の適性を最適化する鍵なのではないかと思います。また、その判断は一人ではできません。対話を通じ、さまざまな反射、フィードバックがあるからこそ、洗練されていくのです。

本連載は「ICT×学び合い」というテーマでしたが、教育現場で大切なのは学習者同士が学び合い、洗練されていくことと、それを促す場をつくることです。そのような学びの場をつくっていく過程には、失敗もあるでしょう。失敗を恐れ、全てを強制的に一律にしてしまえば、学び合うことも洗練を促すこともできません。

真に学び合い、洗練・アップデートが促されるべきは、子供を取り巻く私たち大人なのかもしれません。職員室の中だけでなく、全国の子供を支える立場にある人同士がICTの力を借りてつながり合うことで、より良い教育界になっていってほしいと願っています。そして、そのつながりの先に、より良い社会が築かれることを望んでいます。

(おわり)

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