【ICTと子どもの健康(4)】ICT機器を使う学習環境

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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学校教育に携わる方にとって、教室の環境や様子は慣れ親しんだものです。そのため、教室では黒板や紙の教科書と同じように、ICT機器も使うことができると思われるかもしれません。これは、ICTを活用した教育の方法という意味ではなく、メディアや機器という物の使い方においての話です。しかし、教室はICT機器などのディスプレーを用いることが、元々想定されているわけではありません。そのため、ただ置き換えて同じように使えばよいというわけにはいかないこともあります。

日本人間工学会・子どものICT活用委員会による情報発信

例えば、教室は学習に適した明るい環境となるように指針が決められています。教室の窓は大きくて南向きであることが多く、日が差し込みやすい状況にあります。そのため、カーテンを閉めないと、明る過ぎてICT機器の画面が見づらくなることがあります。また、普通教室には遮光カーテンが取り付けられていないこともよくあるでしょう。電子黒板やプロジェクターなどの大型提示装置を使い始めて、画面の見づらさを実感した学校もあるのではないでしょうか。さらには、窓からの太陽光は時間帯だけでなく、季節によっても差し込み方が変わります。夏が過ぎて、秋、冬となった時に、遮光カーテンの必要性を強く感じるかもしれません。

学校において、ICT機器は教室にとどまらず、屋外でも使うことでしょう。天気の良い日は、画面の輝度を高くしても画面が見づらいことがあります。また、カメラ機能で撮影をする際は、手で端末を持って被写体をしっかりと撮影しようとするでしょう。このような状況において、画面に目を近づけるという行動をしがちです。その場合は、たとえ長時間見続けるわけではなくても、気を付ける必要があります。また、屋内であれば、例えば理科の実験の様子を撮影する際に机の周りを移動する程度ですが、屋外では行動範囲も広がり、子どもたちも活発に動くため、けがや事故が起きないように安全面への配慮も必要となります。

ICT活用における子どもの健康面を考えるためには、ICT機器を使う環境や学習における使い方を知っておくことが重要だと考えています。そうした知見が、どういう場面で何に配慮して指導すればよいのかということにつながります。そのような観点から、日本人間工学会・子どものICT活用委員会では、学校でICT機器を安全で快適に使うためのポイントを検討して、イラストと簡単な説明文で紹介しています(図とURLを参照)。次回は、教室における重要な留意事項である画面への映り込みについて、詳しく取り上げたいと思います。

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