【HSCと向き合う(9)】HSCと障害

一般社団法人信州親子塾 齋藤光代
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HSCが何に対して敏感かは、人それぞれ違う。

感覚の敏感さから、発達障害や自閉症スペクトラムの診断を受けている子も多い。幼少期の現れ方として、似通って見えるのかもしれない。しかし、人の気持ちを察することに人一倍長けていることからすると、自閉症スペクトラムとは明らかに異なる。

HSC自体は環境によって生じるものではないが、環境の影響を大きく受けることを認識しておいてほしい。理解のない環境下で育つと、大人になるにつれてうつ状態、不安症を引き起こす(※1)と言われている。親子塾の若者たちを見ても明らかで、適応しようと長年頑張ってきた人ほどその傾向が強く現れている。

小学生で「学校は無理」となった子が、「自分は自分のままで良かったんだ」と分かると、あっという間に自分を取り戻し、自信に満ちた生活を送るようになる。中学生までなんとか登校を続けた子は、学校を離れても本当にこれでいいのかと悩みながら、しばらく何もしない日々を過ごす。でも、自分の身に起きていたことを理解し、「自分の人生は自分で決める」と覚悟が決まると、自ら動き出すことができる。高校まで苦しみながら頑張ってきた子は、卒業を待たずに突如限界を迎えることが多い。そこから統合失調症や双極性障害と診断を受けるほどに苦しむことも多く、20~40代で親子塾にたどり着く。こうなると自らを取り戻すのは簡単ではないが、自分自身と向き合い、鎧のように身に付いてしまった観念を一つ一つ外していくことで、確実に自分に返っていく。

そして、再び社会の中で自分を試し始めると、自分に植え付けられた観念と自分の思いのズレが病気に似た症状となって現れていたことに気付く。その姿から、誰もが自分らしく生きようとする力を持っていることを私たちに教えてくれる。

一方で、幼少期から理解ある環境で育った子は、非HSCよりも病気やけがをしにくく、心も体も健康であるという研究結果も報告されている(※2)。私や私の息子がまさしくそうであり、納得の記述である。

今の学校が全ての子に合う場所とはなり得ない。特にHSCにとっては、合わない状況が現実としてある。不登校支援の在り方を示した文科省通知では「学校復帰」の文字が削除され、「社会的自立」に置き換わった。「合わない」と感じている子に、「どっちでもいい」と心の底から思い、「あなたはどうしたい?」と問い掛けられる先生が一人でも学校にいたら、その子は救われるだろう。その先生が周りから批判や疑いを持たれずにいられる学校であれば、HSCのみならず、全ての児童生徒が安心して通うことができる場所になるはずだ。

※1・2とも明橋大二(心療内科医)著『HSCの子育てハッピーアドバイス』より


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