【探究学習のメソッド(1)】「Let’s 探究!」 好奇心を原動力とする探究を

東京学芸大学准教授 登本洋子
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私は今、東京学芸大学の次世代教育研究推進機構で「高校探究プロジェクト」(三菱みらい育成財団助成事業)というプロジェクトのメンバーとして働いています。新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められていますが、実際の学校を見ると、大学入試や就職試験、各種資格試験に合格させることが主目的になってしまっている授業も少なくありません。こうした実態を踏まえ、各教科と「総合的な探究(学習)の時間」など教科横断で行われる学びの両方向から、高校の教員の「探究的な学びの実践コミュニティー」を創出し、探究的な学びに転換していこうというのがこのプロジェクトの目的です。

さて、高校では2022年度の入学者から順次実施される学習指導要領において、「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」など、名称に「探究」が含まれる教科・科目が新設されます。また、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変わるなど、今まで以上に探究的な学習が重視されるようになります。

もちろん、教科・科目名に「探究」が含まれていないからと言って、探究をしなくていいわけではありません。生徒たちが知識をただ詰め込む学習から、自分でつかみ取る学習に転換していく必要があります。昨今の就職試験は、新卒の一括採用ではなくなり、学歴よりも学習歴が重視されるようになりつつあります。 こうした社会の変化を踏まえ、探究的な学習は個別の知識ではなく知識の構造を重視するといった、学習観の変容を授業で受け止めるための学習でもあると言えます。

私は昨年度まで12年間、中学校・高校で情報科の教員として授業を担当し、「総合的な探究(学習)の時間」における探究的な学習の授業の開発と実践に携わりながら、「探究」に関する研究に取り組んできました。「探究」がうまく展開できると、教員も生徒も確実に変わります。一方で、生徒たちの笑顔、先生方の笑顔につながったらという一心で取り組んできたものの、今までになかった授業を計画・展開するには、大変なことも少なくありませんでした。

本連載では、これから探究に取り組まれる学校や先生、現在どのように展開してよいか分からないという先生方を対象に、労力の削減も念頭に入れながら、「一人でも多くの生徒と先生方にとって好奇心を原動力にした探究が実現されますように」という願いを込め、私のこれまでの研究と経験を基につづっていきたいと思います。

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【プロフィール】

登本洋子(のぼりもと・ようこ) 東京学芸大学大学院教育学研究科准教授、次世代教育研究推進機構「高校探究プロジェクト」(三菱みらい育成財団助成事業)担当、文部科学省視学委員。東北大学大学院情報科学研究科博士課程修了、博士(情報科学)。玉川学園高学年(中3~高3)教諭、桐蔭学園中等教育学校/高等学校教諭・探究統括主任を経て現職。著書に『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』(玉川大学出版部、2014年)など。

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