【ICTと子どもの健康(5)】画面への映り込みと姿勢

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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前回、教室が学習に適した明るい環境になっているが故に、大型提示装置や端末の画面が見づらくなってしまうことについて述べました。実は、画面を見づらくする要因がもう一つあります。それは天井の蛍光灯で、画面への映り込みが問題となります。学校のパソコン室や会社のオフィスでは、ルーバーと呼ばれるカバーを付けて、照明が画面に直接映り込むのを防ぐための対策が取られています。しかし、普通教室では、少なくとも私は見たことがありません。それは、前回も述べた通り、教室は元々ICT機器を用いることを想定して設計されていないからです。

蛍光灯が画面に映り込むと、表示されている内容が見づらくなる

映り込みがあると、それ自体がまぶしくて目の疲れの原因になることも心配されますが、画面上の重要な箇所を瞬時に見られないなど、学習に支障が出てしまうこともあります。さらに、映り込みを回避するために、自分の頭で蛍光灯を遮るようにして画面に目を近づけたり、体を横に傾けて画面を横方向から見てたりするなど、姿勢が悪くなってしまう懸念もあります。

蛍光灯の画面への映り込みの状況は、教室の座席配置によっても異なります。端末をどんな角度にしても蛍光灯が映り込まない席もあれば、ほとんどの角度で映り込んでしまう席もあります。映り込みの状況は、児童生徒の目の位置から確認しないと分かりにくいため、机間指導の際に児童生徒の顔付近の位置から確認するとよいでしょう。また、画面を見るときの姿勢が悪い子どもがいた際には、姿勢指導をするとともに、映り込みが原因になっていないかどうか確認するとよいと思います。

蛍光灯の映り込みは、端末画面の角度と目の位置に関係しますので、端末の角度を変えることで回避できます。それが現実的な対策の一つです。しかし、それは根本的な解決ではないと、私は考えています。本来なら、児童生徒が自分で調整をしなくてもよい、使いやすくて快適な学習環境を整えるべきだからです。そのため、どのように使っても映り込みが起こらない端末が理想的であり、ディスプレーの今後の技術開発に期待されるところです。現在でも、アンチグレアフィルムを画面に貼ることで映り込みを軽減させることはできますが、画面の精細さが少し失われるなどの課題があります。

重要なのは、児童生徒が使いづらい状況に慣れようとするのではなく、その原因を取り除き、ICT機器や教室環境を改善していくという視点です。より良い学習環境をつくっていくために、何かが使いづらい場合には、児童生徒から自発的に申し出てもらうような指導をして、対策を考えていくのがよいと思います。

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