【ユニバーサルデザイン(2)】課題とZoomの日々

熊本大学准教授 菊池哲平

この連載の一覧

 昨年来のオンライン授業の連続で、心身の不調を訴える学生が増えていると言われています。特に発達障害のある学生にとっては、自宅に閉じこもり、Zoomでの授業と課題をこなす日々が続いてしまったことで、さまざまな不調をもたらしたケースが多かったようです。

「発達障害学生のオンライン授業におけるニーズや困り感に関する調査結果」より大学への具体的な相談内容(調査代表者:菊池)

 私たちの研究グループが行った調査によると、オンライン授業に対する発達障害学生からの具体的な相談内容としては、「課題の量や頻度に関する相談・訴え」が最も多くありました。オンライン授業では学生がきちんと受講したかどうかを確認するため、毎回のように小レポートや小テストなどが課され、コロナ禍前よりも課題の量や頻度が著しく増加しています。そのため、ADHDなど、授業動画の試聴や課題の提出スケジュールの自己管理が苦手な学生が困っているようです。

 また、「PCやタブレット端末などの機器、ZoomやTeamsなどのアプリの操作が分からない」というICT機器に苦手意識を抱えているという相談も多く、授業そのものではなく授業を受けるための支援が必要なケースも多いことが分かります。

 その他にも部屋にこもりきりになるため、生活上の不安や不満に関する相談、オンライン上での演習やゼミ活動に関する相談、オンライン授業動画の音声や画質に関する相談など、オンライン授業の実施においては、さまざまな側面で発達障害学生が困り感を抱えていることが分かります。

 特に、大学の授業では担当教員によってオンライン授業の方法(オンデマンドだったりZoomだったり)や動画の視聴期限、課題の提出方法などが異なることが多く、そのことに戸惑う発達障害学生が多いようです。大学内でオンライン授業の方法や課題の量・頻度についての統一基準を示したり、基本的なICTツールの使い方についての分かりやすいマニュアルを作成したりするなど、可能な限り全学的な取り組みが必要です。

 また、困り感を抱えた学生が相談をしてくるのを待つのではなく、担当者側からの声掛けや履修状況の小まめなチェックなど、積極的な働き掛けが求められます。特に発達障害のある学生の場合、コロナ禍前までは周囲の友人の有形無形のサポートによって、授業への参加や課題の提出ができていたのが、オンライン授業になったことでそうしたサポートを得られなくなってしまい、不適応状態に陥ってしまうケースがあります。そのため、担当者がより積極的に支援ニーズを探りながら、予防的に支援を講じていくなど、これまでとは異なる支援体制づくりが求められています。

この連載の一覧
関連記事