【ICTと子どもの健康(8)】板書と同様に大型提示装置でも見やすさを

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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 学校での視力検査は「370(サンナナマル)方式」により、視力0.3、0.7、1.0を基準として、学校生活に支障のない見え方であるかどうかを確認しています(図参照)。視力が0.7以上(A判定及びB判定)であれば教室の後方からでも黒板の文字がほとんど読め、0.7未満(C判定及びD判定)だと見えにくくなるとされます。また、1.0以上でない場合(B、C、D判定)は眼科受診が勧奨されます。

視力による見え方(公益社団法人日本眼科医会学校保健部「眼科学校保健 資料集」を基に作成)

 児童生徒の近視を予防することに加えて、学習に必要とされる内容を児童生徒にしっかりと見えるように示すことも重要です。板書において、先生方は文字の大きさやチョークの色の使い方、情報量などに配慮されていると思いますが、大型提示装置を使う場合も同様の配慮が必要です。

 大型提示装置の場合、同じ内容(教材)を表示したとしても、画面サイズによって見た目の大きさは異なります。また、本連載の第4、5回で述べたように、教室の明るさや画面を見る角度によっても見やすさは異なります。ICT活用においては、児童生徒の視力という側面に加えて、ICT機器の特性や使い方にも配慮して、学校生活に支障のない見え方となるようにする必要があります。視力による見やすさだけではなく、カラーユニバーサルデザインの視点も重要です。

 大型提示装置による表示や視認性に関しては多くの要因が関係するため、どんな状況にも当てはまる指針を示すのは難しいかもしれません。また、ディスプレー技術が向上することで改善されることもあると考えています。現在における指針としては、単純ではありますが、画面に表示される内容が、教室のどの座席位置からも明瞭に見えるように準備し、実際に確認することが挙げられます。教員自らが授業前に確認したり、あるいは研究授業において、画面の視認性という点からも教員相互で検討がなされたりするとよいと考えます。その一番のポイントは、その学校のICT機器や学習環境に即して検討ができることです。

 人間工学の視点からは、デジタル教科書や教材の制作段階から、全ての児童生徒が問題なく見られるように設計することが望まれます。用いる機器や環境に応じて最適化されると実用性も高まるでしょう。さらに、今後は学校でのICT活用に適したディスプレーの開発や環境設計も必要ではないかと考えています。そうしたことが、子どもたちの学習や健康を支援すること、教員の負担を軽減することにつながると思っています。

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