【ユニバーサルデザイン(3)】離れた子どもたちへ愛を込めて

熊本大学准教授 菊池哲平

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 昨年3~5月のいわゆる「コロナ休校」では、全国各地の小学校や中学校でオンライン授業が行われました。特に熊本市ではGIGAスクール構想に先んじてタブレット端末を導入していたこともあり、全ての小中学校でオンライン授業が実施されました。

 私たちの研究グループでは、コロナ休校期間中に行われた熊本市立小中学校でのオンライン授業について、発達障害のある子どもの参加状況に関するアンケート調査を行いました(全134校中119校から回答)。その結果、「発達障害のある児童生徒の一部がオンライン授業に参加できなかった」という回答が32件(26%)ありました。

 また、学校に寄せられた発達障害のある児童生徒の困り感として、「機器の操作や接続方法が分からない」「時間通りにアクセスできない」「集中できない」「課題の提出ができない」などが挙げられました。大学でのオンライン授業と同様の困り感が多く、発達障害のある子どもにとってオンライン授業はハードルが高い様子がうかがえます。

 一方で、発達障害のある子どものオンライン授業への参加を促す取り組みも、各小中学校の教員によって盛んに行われていました。手が空いている別の教員が、Zoomにアクセスしていない子どもの自宅に電話をして状況を確認したり、保護者の協力を得るために詳細な資料を届けたりするなど、直接会うことができない状況の中で、学校からの支援を子どもたちに届けるためのさまざまな工夫が行われていました。

 また、スライドを活用して視覚的な理解を促したり、短い説明と子どもが自分で考える課題を交互に提示して学習活動にメリハリをつけたりするなど、普段の授業よりも丁寧かつ本質に迫った授業を目指した試みも行われました。
 こうして考えると、オンライン授業と対面授業は本質的に異なるものではなく、オンライン授業での困り感は、発達障害のある子どもが対面授業で感じている困り感を、より明確に浮き彫りにさせたものと考えることができるかもしれません。すなわち、学校では教員や他の子どもたちの有形無形のサポートによって目立った困り感がない場合でも、オンラインでは潜在的な困り感が表面化してくるということです。

 つまり、オンライン授業のユニバーサルデザイン化という視点は、対面授業での潜在的な困り感を解決するための糸口でもあると言えます。オンライン授業を通して、対面授業の改善の視点も見えてくるのです。

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