【ICTと子どもの健康(9)】健康面に関する学校での取り組み

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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 多くの学校や自治体で、健康面に関する対策に取り組んでいることと思います。ポスターやリーフレットなどを活用するのも効果的な方法です。例えば、文科省は「端末利用に当たっての児童生徒の健康への配慮等に関する啓発リーフレット」を、日本眼科医会は「目の健康啓発マンガ ギガっこデジたん!」を作成し、Web上で公開しています。学校での活用においては、配付や掲示にとどまらず、児童生徒や保護者に内容をしっかりと説明し、普段の学校生活の中で指導や健康観察を継続していくことが重要だと考えます。そうした取り組みが、児童生徒が自らの健康に自覚を持ってデジタル機器を利用するリテラシーの習得につながります。

30センチを知るために腕の長さを測る児童(左)。健康面に関する話を聞く児童(右上)と児童の発表を聞く生徒(右下)

 健康面に関する学校や自治体の取り組みとして、私も関わらせていただいている事例を紹介します。1つ目は、新潟県の三条おおじま学園(大島小学校、須頃小学校、大島中学校)の取り組みです。この学園では、普段から健康面に関する教育活動が行われていますが、今年7月には、学校間をオンラインでつないで、児童生徒自らが健康面やメディア利用について考える学校保健委員会が行われました(写真参照)。私からは、ICT活用と健康面のバランスを考えることの意義について話しました。また、視距離30センチ以上を心掛けるために、自分の腕の長さを測る活動を取り入れ、学校でも家庭でも目の健康に配慮することの大切さを伝えました。さらに、各教室でグループワークを行い、健康面に関わる現状の課題と改善策を発表し合いました。小学生と中学生が一緒に取り組めたのはICTを活用したからこそであり、地域の子ども同士で議論したり教え合ったりする機会が、児童生徒の健康面に対する意識の醸成に良い効果を与える可能性を感じました。

 2つ目は群馬県の取り組みです。その大きな特徴は、児童生徒の健康維持と適切なICT機器利用のために、群馬県医師会や群馬県眼科医会、群馬県学校保健会、群馬県教育委員会などが連携して取り組んでいることです。小児科や眼科の医師が精力的に活動し、どのようにすれば各学校の児童生徒一人一人の健康を守れるのかを議論し、行動に移しています。これまでに、独自の啓発チラシを作成して配布し、現在は学校の先生方を対象とした研修会の準備をしています。

 さらに今後は、市町村や学校との連携の在り方や、情報の共有や分析、評価などについて検討していく予定です。私は、医師や教育委員会、学校が、それぞれの専門性や特徴を生かして進めていくことが重要だと考えています。それにより、子どもや家庭に健康面について適切に伝えることができ、目的を達成できると考えています。

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