【ICTと子どもの健康(10)】家庭での端末利用とこれからの情報化社会

東海大学情報通信学部情報メディア学科教授 柴田隆史
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 子どもたちを取り巻くICT環境の大きな変化は、学校で1人1台端末になったことだけではなく、情報通信ネットワークの活用も挙げられます。学習にクラウドが利用され、遠隔教育や家庭学習の充実も図られます。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン授業やオンライン朝の会の重要性も高まりました。端末を家に持ち帰るなど、今後は学校だけではなく、家庭でも学習にICT機器を使う機会が増えると予想されます。

教室とは異なる家庭での学習環境(文光堂『クリニックではじめる 学童の近視抑制治療』を基に作成)

 家庭での端末利用の状況は、教室とは異なります。また、学習する環境は家庭によっても異なります。教室の授業であれば、児童生徒は自分の端末画面だけではなく、大型提示装置や黒板、先生を見るなど、遠くへ視線を移動させる機会があります。しかし、家庭でオンライン授業を受ける場合は、教材だけでなく先生や友達の姿も画面に映るため、近い距離を見続けてしまうことになります(図右参照)。また、学校では端末に目を近づけている児童生徒がいれば、先生が声を掛けて改善できますが、オンライン授業ではそれが難しくなります。

 家庭での端末利用においても、留意点は基本的に学校と同じですが、両者の学習環境の違いも考慮する必要があります。机と椅子の高さは自分に合っているか、部屋を明るくしているか、端末画面に天井や机の照明が映り込まないかなどについて、特に確認するとよいと思います。また、睡眠の質を良くするために、寝る1時間前からはデジタル機器を使わないことも重要です。

 さらに、これは学校での利用にも当てはまりますが、長時間文字入力をするときは、画面上のソフトウエアキーボードではなく、ハードウエアキーボードを使うことが推奨されます。使いやすさが向上し、姿勢の拘束を緩和できるからです。学校でキーボードによる文字入力を教える際に、学習活動によって用いるツールが異なるのと同じように、文字入力の目的や場面によって方法を変えるよう子どもたちに伝えるとよいかもしれません。

 これからの情報化社会において、子どもたちがICT機器を活用する場面はさらに広がっていきます。私が、児童生徒が自らの健康について自覚を持って端末を使うことが重要だと考える理由はそこにあります。学校や家庭、医師、人間工学や教育工学の専門家などによる対策や指導を通して、子ども自身がICT活用と健康面のバランスを考えるリテラシーを習得し、情報化社会に適したライフスタイルを身に付けていくことを期待します。

(おわり)

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