【探究学習のメソッド(7)】 [整理・分析]② 教員もデータ分析の力を!

東京学芸大学准教授 登本洋子
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 第7回は、前回に続き探究のプロセスの「整理・分析」について説明します。

 前回は情報の整理についてお伝えしましたが、「整理・分析」でもう一つ重要なのが分析です。集めた情報を並び替えるだけでなく、自分の視点を持って分析できると、オリジナリティーや説得力が増します。

 データ量の増加に伴い、注目を浴びているのがデータサイエンスです。各大学で、学部を新設したり全学生に必修化したりするような動きが加速しています。身の回りにあるデータをどのように分析して活用していくか、これからの生徒たちには必須のスキルとなります。

 一方、「データの分析を教えるなんて、とても無理!」という先生も少なくないでしょう。でも、教科にかかわらず、私たち教員が学ぶことを避けられない領域になってきているように感じます。データの分析の視点を獲得できれば、文系の教科であっても、違った角度から教科内容を深めることができるようになります。

 総務省統計局より提供されている「なるほど統計学園」「統計学習の指導のために(先生向け)」など、無料で使える教員用の教材も増えています。初めから高度なところを目指す必要はありません。始めてみると、データの分析が身近な生活に関わっていることがよく分かり、とても面白いものです。天気や地域のお年寄りとの会話をまとめたものもデータです。

 「統計検定4級」は、中学校卒業段階までに学ぶ統計を範囲とした検定で、生徒と一緒にチャレンジするというのも楽しいことです。特に「数学」ではない教科の先生が一緒に挑戦してくれたら、生徒はとてもうれしいのではないでしょうか。書籍『統計検定4級対応 データの活用』(日本統計学会)も、探究の視点が散りばめられていてお薦めです。

 グラフや表は既存のものを使うこともできますが、生徒には自分で作成できる力も付けさせたいものです。昨今は統計に関するコンクールも増えています。「中高生・スポーツデータ解析コンペティション」は、結果を見るだけでも、生徒の好奇心を刺激することができるでしょう。

 分析のことばかり書いてきましたが、この段階でディスカッションが取り入れられると、探究は一層深まります。集めた資料をどのように読み取るのか、設定した課題に対して集めた情報から答えを導き出せているのか、別な視点はないのかなど、他者の視点を入れることで探究が深まります。教員が全てのグループの議論に加わることは現実的ではないでしょう。似たテーマに関心を持っている生徒同士、あるいは全く関係がないメンバーだからこそ、議論が深まることもあります。

 問題意識と仮説を持って、膨大な情報の中から知りたいことを探しに行くことこそ、まさに探究です。

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