【ユニバーサルデザイン(6)】適切な画質と文字サイズ

熊本大学准教授 菊池哲平

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 前回はオンライン授業の音声の問題を取り上げましたが、動画の画質にも配慮する必要があります。オンライン授業ではスライドを画面共有して説明するケースがほとんどですが、画質が著しく悪かったり、文字サイズが小さかったりすると、スライド上の文字が読めないなどの状況が起こります。また、教室で黒板に書いた文字についても、ある程度大きく書かないと読めなくなってしまいます。

オンライン授業におけるスライド資料の注意点

 小中学校でオンライン授業を行う場合、GIGAスクール構想で配布されたPCやタブレット端末が使用されることが多いため、画面の大きさは統一されていますが、大学でのオンライン授業では学生が手持ちの機器を使用するためばらばらです。大画面PCから小さなスマホの画面まで、受講者がさまざまな画面サイズで視聴していることを前提にしなければなりません。

 それでは、どのくらいの画質や文字サイズであればよいのでしょう。私の研究室でフォントの種類やサイズなどを変更しながら比較検討した結果、画面が小さいスマホ(4.7インチ)で視聴する場合、通常の「游教科書体」では32ポイントが適当で、それ以下のサイズになると読みにくいと感じる人が5%程度いました。

 一方で、視認性が良いとされる「UDデジタル教科書体」を使えば、28ポイントのサイズでもほとんどの人が読み取りやすいと評価しました。画面が大きいタブレット端末(10.2インチ)の場合は、もう少し小さいサイズも許容範囲になり、「UDデジタル教科書体」では20ポイントくらいまで大丈夫でした。

 黒板に書いた文字をカメラで撮影する場合は、縦横が8センチ以上のサイズでないと、読みにくい人が出てくるようです。また、広角レンズの場合、画面中央にピントが当たるため、端の方では少し大きめに書かないと文字がつぶれて読みにくくなります。日頃の教室での対面授業よりは、大きめに書くことを意識する必要があります。

 なお、前述した文字サイズは動画の解像度を720pにした場合のもので、解像度が低くなるとさらにサイズを大きくする必要があります。参考までに、Zoomは通常では360p、設定でHDを有効にすれば720pもしくは1080pで配信することが可能になります。

 昨年度、オンライン授業が開始された当初は、データ節約のために解像度を低くするよう求められたことがありますが、読みやすさという点からは、可能な限り高解像度で配信した方がよいと思われます。

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