【探究学習のメソッド(8)】[まとめ・発表] 大切なのは相手に伝えたいという強い気持ち

東京学芸大学准教授 登本洋子
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 第8回は探究のプロセスの「まとめ・発表」についてです。

 探究のプロセスの最終段階である「まとめ・発表」は、これまで探究してきたことを相手に伝えるプロセスです。「まとめ・発表」では、発表する場の用意が重要です。成果物の出来が良い生徒だけでなく、できる限り全員が発表できる場を用意することが望ましいでしょう。発表する場があるかどうかで、生徒の取り組みに対する意欲が変わってきます。

 発表には、教室や体育館などで聴き手に一斉に説明をする「口頭発表」、壁やパネルに資料を張って聴き手と近い距離でディスカッションも交えながら説明する「ポスター発表」などの形態があります。生徒の協力も得ながら、教員に負担がかかりすぎないように留意しながら、発表の場を設けるようにします。近頃は、プロジェクターが設置されている教室も増えており、幾つかの教室に分かれて同時に発表を進めることもできます。

 発表資料は、模造紙ではなくプレゼンテーションソフトで作成すると、内容の入れ替えが容易にできるため、どのように伝えたら効果的か、アウトラインを整えやすくなります。まずは箇条書きでスライド全体の構成を考え、その後に数値や重要なキーワードを図式化し、全体の文字や色のデザインを整えるようにします。

 発表のために原稿を書くことについては、私は必須ではないと考えています。原稿を作ると指導はしやすいですが、どうしても棒読みになり、聴き手に伝わりにくい発表となってしまうからです。何をどのような順番で話せば相手により良く伝わるかを検討させることも重要ですが、原稿を持たず、自分の言葉で発表に臨んでもらいたいものです。発表の前には聴き手としてどのような点に注意しながら聴くのがよいか、どのように質問するのがよいのかを併せて指導すると、発表の場がより充実したものとなります。

 発信することに慣れている現代の生徒たちは、準備さえ順調にできていれば、所定の時間に収まらなくなるほど熱く発表してくれます。発表では作品や動画などを用いるとより効果的です。

 レポートや論文にまとめる場合は、文章が書けないことにがくぜんとすることも少なくないでしょう。基本的な文章の書き方や引用、参考文献の示し方は、各教科で連携を図って長期的に教えていく必要があります。また、特に問題になるのは剽窃(ひょうせつ=いわゆるコピペ)で、根気強く指導していく必要があります。

 なお、レポートや論文を書いてから発表するのではなく、発表の後にレポートや論文を書く方がうまくいくようです。「まとめ・発表」において最も大切なのは、相手に伝えたいという強い気持ちです。

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