【「名もなき校務」を応援(3)】生活が変わる!理想のICT環境とセキュリティー① 現状の課題

日本マイクロソフト株式会社 コーポレートソリューション事業本部 ソリューションスペシャリスト、元高校教員 栗原 太郎

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 今回から3回にわたって、最新の学校ICT環境とセキュリティーについてお話ししたいと思います。現場からはICTの利用環境に関する多くの悲鳴が聞こえてきますが、実はほとんどがセキュリティーに起因するものです。前任校の3つの改革で最も注力した分野で、今までと全く違った仕組みを整えることで、先生方の働く環境はもちろんのこと、生活すらも根本から変えていきました。

 私自身の転職も、この環境を広く提供したいという思いから来ているところが大きいです。セキュリティーは子どもや教員を守るだけでなく、ICTの利用、学び方・働き方と直結するものでもあります。そして、IT屋が一番オタクっぽくなるところですので、皆さんにアレルギーが出ないように極力簡単に書いていきたいと思います。

 「教員がどこかでPCを置き忘れたらどうするんだ!」「生徒に間違って送っちゃいそう」「クラウドにあると誰でも見られちゃうんじゃないの?」

 ICTの話になると、皆さんの安全面の心配が尽きません。意識を高く持つのは非常に良いことですが、不安からICTそのものを遠ざける動きになっているのが実態だと思います。

 セキュリティーに対する不安は、2つの点でICTの活用を停滞させます。1つ目は使う人の心理的なハードルを上げることです。「安全じゃないかもしれない」が学校現場に与える影響は計り知れず、活用の停滞だけでなくICT推進者とその他の先生の分断を加速させ、現場を疲弊させます。2つ目は利便性を下げることです。従来のセキュリティーではさまざまな制限を行うことが有効な対策だと考えられていたため、ルールで縛り、多くの機能を制限していました。「情報が流出しないよう端末を職員室から持ち出せないようにしましょう」「危険なアプリは勝手に入れられないようにしましょう」といったように、明確にセキュリティー対策だと分かるようなものもあれば、一見するとセキュリティーとは無関係なICTの課題にもつながってしまっています。「ネットが遅い、つながらない」「先生が授業で使える端末がない」「パソコンが重い」などの結果として、現場から不便なICT環境に対しての悲鳴が多く上がっています。

 活用停滞だけならまだしも、逆に危険性を高めているケースも数多くあります。セキュリティーを高めようと設定したルールや機能面での制限によって、幾つもの抜け穴が使われるようになりました。次回からは多くの学校で取られている従来のセキュリティー対策と全く考え方が異なる、これからのセキュリティー対策について見ていきたいと思います。


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