【ユニバーサルデザイン(7)】「授業の後」の時間

熊本大学准教授 菊池哲平

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 対面授業のときは、授業が終わった後に片付けをしていると学生が近寄って来て「先生、ここがよく分からなかったのですが…」と質問をしてくることがよくありました。「分からなかったら授業時間中に質問してほしい」と内心では思いながらも、みんなの前では聞きにくいというのも分かりますので、時間の許す限り説明したり、次回の授業時にフォローしたりしていました。

 オンライン授業になって、このような「授業の後」の時間がなくなってしまい、質問したい学生が困っているようです。私はZoomでオンライン授業をする場合、授業が終了して「お疲れ様」を伝えた後、全ての学生が退出するまでミーティングを終了しないことにしています。学生にとっても突然ブチっと終了されるよりも、自分で退出ボタンを押す方が区切りをつけやすいという理由からですが、それでも退出前の他の受講者に聞こえる状況の中で質問をするのは勇気のいることです。

 こう考えると、学校という場が単に「授業をするところ」という機能だけではないことを改めて思います。授業内外で学び手の疑問に答えてくれる教員の存在が学校という場を成立させ、学び手に安心感を与えてくれるのです。従って、オンラインで授業をせざるを得ない状況の中では、子どもたちや学生の「ふとした疑問」に答えられるように工夫する必要があります。

 私が行うオンライン授業では、受講者から授業後に感想や質問をまとめて提出してもらい、それを出席確認に用いているのですが、毎回の授業で前回の授業で寄せられた疑問や質問に答える時間を設けています。授業にもよりますが、授業時間の3分の1程度を費やすこともあります。

 しかし、それだけでは授業に直接関係する質問しか扱えませんので、授業がある程度進んだ段階で「リクエスト大会」と称し、授業に関連しない質問も受け付ける形で、学生の疑問に答える機会をつくることもあります。学生からはおおむね好評で、中には教員が思いもつかなかったような質問が飛び出すこともあり、深い学びにつながっていると感じることもあります。

 オンライン授業の課題として、学生同士の学び合いをどう担保するかがよく挙げられますが、教員と学生の密なコミュニケーションをどう担保するかも大切な課題なのかもしれません。

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