【探究学習のメソッド(9)】「評価」 生徒のやる気につながるフィードバック

東京学芸大学准教授 登本洋子
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 第9回は「総合的な探究(学習)の時間」の評価についてです。

期待する学生像

 「『総合的な探究(学習)の時間』の評価をどのようにしたらよいでしょうか」という質問をよく受けます。評価において最も大切なのは、生徒が「よし、もっと頑張ろう!」と思えるフィードバックを適切なタイミングで返すことです。評価することが目的になってはいけません。そのためには、指導要録や調査書の「総合的な探究(学習)の時間」の欄に記載する内容を早めに明確にし、探究のプロセスのどこでフィードバックすれば最も効果的で、教員の負担を軽減できるかを検討することから始めます。

 評価にあたっては、ルーブリックも活用したいところですが、教員の時間は限られており、最初はルーブリックを作るよりも、どうすれば生徒の探究を促すことができるかの検討に時間を割いた方が、効果的だと私は考えます。ルーブリックの作成は、学校全体で探究に取り組む体制が整い、多くの教員が進め方を理解してからでも遅くはありません。

 とにかく、「総合的な探究(学習)の時間」の評価で重要なことは、生徒の取り組みを認めてしっかり褒めること、否定しすぎないことです。また、何かしらの成果を生徒たちに期待してしまいがちですが、「総合的な探究(学習)の時間」こそ失敗してもよい時間で、結果よりも取り組みの過程に着目するようにします。

 教員がフィードバックするだけでなく、友達同士、保護者や外部の方から意見がもらえると、生徒のやる気につながります。他校との連携も有効です。中高生を対象にしたコンクールも良質なものが増えていて、生徒の一つの目標や刺激として活用しない手はありません。

 大学入試の総合型選抜(旧AO入試)では、「総合的な探究(学習)の時間」での取り組みが合格につながることも少なくありません。国公立大の一般入試でも「面接」「志望理由書」で「高校時代に取り組んだこと」が問われ評価されることが、長期的には確実に増加していくでしょう。

 「総合的な探究(学習)の時間」での取り組みが「調査書」に記載されること、面接がある入試では詳細を聞かれたり成果物の提出を求められたりするケースがあること、それにより合否につながることは、探究の意義とともに、入学直後から折に触れて伝えてください。社会も大学も、探究できる人を求めています。

 何がやる気に火を付けるのか、きっかけやタイミングは生徒によって異なります。生徒にさまざまな情報を提供し、取り組んだことに対してフィードバックすることが大切です。

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