【ユニバーサルデザイン(8)】本当は怖いブレイクアウトルーム

熊本大学准教授 菊池哲平

この連載の一覧

 Zoomがオンライン授業でよく使われる理由の一つに、ブレイクアウトルーム機能の存在が挙げられます。これは参加している受講者を指定した小グループに分ける機能で、グループを組ませての作業やディスカッションなどに使えます。対面授業でもアクティブ・ラーニングとしてグループディスカッションを取り入れる機会が増えてきていますので、それをオンラインでも実現可能ということで、オンライン授業でも多用されています。

 一方で、学生の立場からすると、ブレイクアウトルームはあまり評判が良くありません。理由として、「よく知らない人と突然組まされる」ことがあります。よく知らない人といきなりディスカッションをするように言われても、なかなか議論は進みません。逆に、たまたま友人と一緒になると、その人と雑談のようなことを始めてしまい、建設的なディスカッションにならずに終わることもあります。

 対面授業であれば、教室の各所に分かれて議論をするため、教員が各グループの様子を見ることができます。そのため、うまく議論が進んでいないグループには円滑に進むよう介入をすることができます。しかし、オンライン上でのブレイクアウトルームは、各グループの様子が教員には分かりづらいため、ディスカッションがうまく進まないまま時間切れになることも少なくありません。

 さらに、コミュニケーションが苦手な発達障害のある学生の場合は、ブレイクアウトルームのハードルはより高くなります。教員がいないところで知らない学生とディスカッションをするのは非常に負担で、ブレイクアウトルームになった途端、Zoomから落ちていく(退出する)人もいます。

 ブレイクアウトルームを有効に使うためには、いきなり始めるのではなく、教員側が開始前にディスカッションのテーマを明確にし、話し合いの基本的な手続きを示すことが大切です。具体的には、(1)ディスカッションの目的(2)議論のゴール(結論を出すのか、意見の出し合いだけでよいのか)(3)司会を立てるか否か(4)全員が発言するべきか否か(5)終了後にグループでの議論を全体に報告するか否か(するなら誰が報告するのか)――などを明示することで、グループディスカッションがやりやすくなります。安易にブレイクアウトルームを使うのではなく、しっかりと準備して使うことが重要です。

この連載の一覧

関連記事