【探究学習のメソッド(10)】[ICTの活用] クラウドはとんでもなく頼りになる存在

東京学芸大学准教授 登本洋子
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 第10回は「総合的な探究(学習)の時間」におけるICTの活用についてです。

 「総合的な探究(学習)の時間」を進めるにあたり、ICTの活用は必要不可欠です。データの分析に続き、「ICTなんて苦手!」という先生もいるかもしれませんが、ICTを活用するかどうかで探究の深まり方が異なります。教員の労力の軽減にも直結するので、使わない手はありません。

 クラウドサービスとは、PCやスマホなどを使うときに、ストレージやソフトウエアを自分で用意せず、インターネット上のサービスを利用する形態のことです。このクラウド化が進んだことによって、ICTは「総合的な探究(学習)の時間」との親和性が非常に高くなりました。

 例えば、「課題の設定」では、表計算ソフトを使って必要項目を表にしたファイルを全員と共有すると、生徒は互いの計画をヒントにしながら進めることができます。「情報の収集」や「整理・分析」では、ICTの力なくして進みません。ウェブアンケートでは、結果をファイルに書き出すことができるため、集計にかかる時間を大幅に削減することができるようになりました。

 「まとめ・発表」では、日本語文書ソフトやプレゼンテーションソフトのファイルを共有すると、生徒がどこまで書いているのか、どこに困って止まっているのか、教員は瞬時に把握することができ、修正してほしい点や提案をコメントとして送ることができます。一つのファイルに同時にコメントを書き込むことができるため、生徒同士の相互評価も容易になりました。

 このようにクラウドを利用する最大のメリットは、「総合的な探究(学習)の時間」に限らず、今までよりも生徒同士が協働的に取り組むことができるようになる点です。プリントを作成・印刷して配布することなく、計画を共有したり、ディスカッションをしたり、日々の振り返りの場として活用したりできます。

 クラウドを活用することにより、学校で行っていたことを、自宅でも同じ環境で取り組むことができるようになりました。ファイルをUSBメモリーに保存して持ち帰る必要もありません。保存することさえ意識しなくて済むようになり、ファイルの保存に失敗して作成していたものが消えてしまうようなこともなくなります。取り組んだことをポートフォリオとして蓄積することもできます。

 ICTを効果的に活用するためには、タイピングや検索など、基本的な操作は早めに習得させておきたいものです。そうして活用が進めば、海外の学校と発表し合うことなどもできるようになります。

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