【探究学習のメソッド(11)】[STEAM教育] 教科や文理の枠を超える

東京学芸大学准教授 登本洋子
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 第11回はSTEAM教育と教科等横断的な視点について説明します。

経済産業省「STEAM Library」

 テクノロジーは、私たちの生活に不可欠なものになりました。2021年初めの世界の人口78億5千人のうち、約65%に当たる47億人がインターネットを利用していて、SNSの利用者は全人口の半数に当たる43億人を超えたそうです(※1)。

 インターネットには、エアコンや洗濯機なども接続されるようになりました。インターネットに接続されるデバイス数は23年までに293億台を超え、日本では人口1人当たり11・1台が接続されると予想されています(※2)。さらにAI(人工知能)の進化は、私たちの生活だけでなく、仕事や職業にも大きな変化をもたらすと予測されており、今後の豊かな生活のためにも、私たちはテクノロジーへの理解を欠かすことができません。

 「STEAM教育」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の「STEM」に、Art(芸術・リベラルアーツ)が加わった教育手法です。

 「STEM」とAの芸術または教養を融合させた視点が、VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)と言われる予測困難な未来を乗り越えるものになると私は考えます。テクノロジーは、私たちの生活を害するために使われるのではなく、豊かなものにするために役立てていくものでなければなりません。

 わが国では、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会として、狩猟社会(Society1・0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く目指すべき未来社会として、Society5.0(超スマート社会)が提唱されています。Society5.0を生きる生徒たちには、教科等の枠の中にとどまらず、教科や文理の枠を超えた視点を育んでいく必要があります。

 STEAM教育は、単に最新テクノロジーやその影響を扱う教育ではありません。STEAMの5つの視点を持ちながら、実社会の課題を発見し、その解決を図る探究的な学びです。各教科の中でSTEAMの各分野について探究し、さらに「総合的な探究(学習)の時間」でそれらを組み合わせれば、教科や文理の枠を超えた発展的な探究として取り組むことができます。学校の教育目標としてSTEAM教育に取り組むのもよいでしょう。個々の生徒のテーマにSTEAMの5つの要素のいずれかを掛け合わせると、視点が広がり、探究が深まります。最近では、経済産業省「STEAM Library」のようなSTEAM教材の提供も増えていて、場面に応じて用いることができます。

※1 DataReportal(2021)DIGITAL 2021 APRIL GLOBAL STATSHOT REPORT

※2 Cisco(2020)Cisco Annual Internet Report


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