【「名もなき校務」を応援(6)】ICTを使った働き方改革① 伝達型コミュニケーションについて

日本マイクロソフト株式会社 コーポレートソリューション事業本部 ソリューションスペシャリスト、元高校教員 栗原 太郎

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 今回は、具体的に働き方を変えていく方法についてお話したいと思います。ICTを使って改善できるものは大きく分けると伝達・集計・転記の3つになります。

 「放送委員は昼休みに放送室に集まってください」朝の会でよくある連絡事項を例に、学校における伝達の仕組みについて考えていきます。学校によって差異はあると思いますが、職員朝会で教員に周知し、担任が各教室で生徒に伝えるという流れが定番だと思います。前任校の職員朝会では連絡に20分近くが取られ、朝の会に間に合うよう走っていく先生の姿が見られました。先生たちで共有された連絡は同じ時間を使って生徒にも共有され、これだけで1日に40分もの時間が費やされてしまいます。こうした伝達は学校現場のあらゆる場面で見られ、先生と生徒だけでなく、保護者を巻き込んだ形での壮大な伝言ゲームになっています。配布物や電話での欠席連絡など、媒体は変わっても本質が同じものを含めると異常なほどの量があります。

 先の例の解決策は単純で、一人の先生が放送委員全体に直接連絡すれば済む話です。根本的な原因は、物理的空間では場を流動的に変えることができないことにあります。学校では学年、クラス、委員会、部活動など、大小の異なるグループに生徒が重複する形で所属しています。教室という物理的な制約からクラス単位での連絡が採用されているだけで、結果として複数の先生が同じ連絡をし、必要のない生徒までもが聞くことを強いられています。

 この状況を乗り越えるものが、仮想的空間で場を自在に形成できるICTです。Teamsのようなチャットツールを活用すれば自在に場をつくることが可能で、グループごとに連絡ができるだけでなく、朝の会や帰りの会にしか集まれないといった時間的な制約からも解放されます。

 この文脈でTeamsを紹介する際には、二重連絡をしないように大きいグループ(チーム)から考えた方がよいと伝えています(小技(9))。よくあるのが既存の連絡の仕組みをそのまま移植することです。今まで通り職員朝会と朝の会が重複し、クラスごとに同じ連絡をすることをただデジタルでやっているということが起きています。ICTを使って時間・空間的な制約から解放された姿は、現在のものとは異なることを先生方が理解することが大切です。

 最後に「直接伝えることに意味がある」という、チャットツールを導入する上での強力な反論ですが、前任校では伝達と会話を分けていくことの大切さを伝えました。

 「先生方は今、どれだけの時間、子どもたちと会話ができていますか?伝達と会話を分けることで本当に必要なコミュニケーションの量を増やしていきましょう」

 この思いを共有し、会話を増やしていったのです。

働き方を劇的に変える ICT の小技

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