【「名もなき校務」を応援(8)】ICTと授業① どこから始めればよいのか

日本マイクロソフト株式会社 コーポレートソリューション事業本部 ソリューションスペシャリスト、元高校教員 栗原 太郎

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 最後は3回にわたって、ICTと授業についてお話ができればと思います。「校務の活用は分かった。じゃあ授業はどこから手を付ければよいの?」という質問をよくいただきますが、私は「授業活用を進めるには、まず全員での校務活用から始めてください」と答えています。納得がいかないかもしれませんが、実は授業活用ができている学校ほど、校務あるいは校務と授業のセットでICTの活用を始めています。

 Microsoft Teamsであれば、教職員全員が参加するチームを作成し、利用するところから始めます(小技⑨)。教職員チーム内は、会話のまとまりごとにグループを作成できる「チャネル」で区切っていきます。「学年」「分掌」「行事」などのチャネルを作っていくとよいでしょう。

 この「チャネル」は、チーム内の全員が「見ようと思えば見える」半オープンのコミュニケーション空間になります。階層を下げて学年ごとに教職員チームを作成する学校もありますが、この形では第1学年の先生は他学年の情報を見ることができません。そのため、活用が進むにつれて、使う学年と全く使わない学年ができてしまいます。この差はICTを推進していく上では非常に危険で、私が授業活用から始めることを止める理由もここにあります。

 授業活用では多くの場合、一人のICT推進役の先生が活用を始めます。そうなると全ての質問がその先生に集中します。「Teamsの使い方を教えてください」など、同じような質問がいろんな先生から来ます。気軽に質問と回答を共有する場がないからです。質問事項は徐々にTeams以外にも広がり、「パソコンの電源が…」などといったことから、全く関係ない「コピー機のトナーが…」、挙句の果てには「蛍光灯が…」といったものまで、冗談みたいな話ですが、電気で動くもの全ての質問をその先生が引き受けることになります。弊社でも、製品ごとに専任の担当が細かく分かれているのですから、一人の先生に質問するのは無謀です。

 孤立するのを回避するには、まず教職員チームをつくり、全員が一緒に使っていく環境を整える必要があります。その上で、Teamsを毎日絶対に見ないと回らないような業務を組み込むことが効果的です。私の場合は欠席連絡(小技⑦)から始めました。先生の負担軽減と生徒情報の共有を円滑にするだけでなく、Teams活用を習慣化できます。

 そうしてICT活用の土台ができたところで、先生方の働き方改革に着手していくのがよいでしょう。その際は業務のICT化以上に、今の業務に疑問を持ち、協議し、見直すプロセスの方が大切だったりします。前任校の校長が「働き方改革は先生たちの探究活動」と言っていましたが、ICTを使った探究活動ができれば先生方の授業への応用は簡単であり、より本質的なものになります。

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