【紙からデジタルへ(7)】デジタルゲームも使い方次第

ペンシルバニア大学教育大学院教授 バトラー後藤裕子

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 多くの子どもや若者たちを夢中にさせているデジタルゲームですが、ゲームの歴史は古く、私たち人類はさまざまな知識やスキルを身に付けるためにゲームを使ってきました。ゲームに長時間没頭する我が子を見て、ため息をつく保護者も少なくないかもしれません。しかし、どうしてここまでゲームが子どもたちの心を捉えてやまないのか、その動機付けのメカニズムが分かれば、ゲームを学習場面に有効利用していけるかもしれません。

 今回は外国語教育でデジタルゲームを応用する方法を考えてみましょう。外国語教育を例に取り上げるのは、近年外国語教育では、デジタルゲームの積極的な活用がいろいろと提案されているからです。

 言語学習では大量のインプットが必要です。外国語でデジタルゲームを行う場合(もちろんゲームの種類にもよりますが)、特に対人型のゲームの場合は、他のプレーヤーと自然なコミュニケーションを取ることができます。デンマークの7歳から11歳の小学生を対象に行われたある研究では、英語でデジタルゲームを行っていた子どもたちは、ゲームコミュニティーの一員になるために、機械翻訳を使ったりしながら英語でのやりとりに挑戦するなど、目的を持って言語使用をしていることが示されていました。重要なのは、彼らが自主的に英語を使っていたということです。

 言語学習では繰り返しの要素が欠かせません。多くのゲームの中には、この繰り返しを楽しんで行える仕掛けが潜んでいるようです。私は4000人近い日本の小学生が英語学習ゲームをしたデータを分析したことがありますが、単純なゲームにもかかわらず、平均100回以上繰り返してプレーしていたのを知り、大変驚きました。ゲーム1回につき何度も同じ単語を聞けますので、その総数は相当なものになります。これだけの量を英語の授業中に聞かせるのは到底無理でしょう。

 さらに私は首都圏のある公立小学校の6年生に、英語の単語学習デジタルゲームのデザインをしてもらったこともあります。彼らのデザインしたゲームにはストーリー性があり、自分の学習をコントロールできて、段階別に難易度が上がるなど、ゲームの特徴がよく反映されていました。誘拐されてしまった雪だるまを救出する「ジョニーの冒険」や、従業員の力を借りながら会社を倒産させないようにする「社長の通勤」など、ストーリー性に富んだその創造力には目を見張るものがありました。もちろん、何でもかんでもゲームで学習すればよいというわけではありませんが、ゲームの可能性は過小評価できないと思われます。


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