【激甚化する自然災害に備える(3)】新学習指導要領と防災教育

滋賀大学教授 藤岡達也

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 学習指導要領においても、さまざまな教科で自然災害や防災教育に関連した内容が取り扱われている。理科では地震・津波、火山噴火のメカニズム、日本列島の四季の特色と気象などによる多様な自然現象などが、社会科では自然災害の防止や暮らしを守る社会体制などが、家庭科では災害に強い住宅環境、非常食等の備えなどが、保健体育ではけが等の予防や応急手当てなどが取り扱われている。現学習指導要領では、総則解説編に「防災を含む安全に関する教育」が記述され、教科横断的にカリキュラム・マネジメントの観点から取り組まれることも期待されている。

 一方、学校安全では、生活安全、交通安全とともに災害安全(防災と同義)が柱とされている。文科省では、これまでも「学校安全資料『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」「学校防災のための参考資料『生きる力』を育む防災教育の展開」などを刊行し、そこで災害安全(防災)は、防災教育、防災管理、組織活動の3本柱で構成されている。学校教育においては、この3本柱をどのように連動させるかが課題となっている。

 日本列島は狭い面積にもかかわらず、地域によって自然環境が全く違っており、対応が重視される自然災害も地域によって異なっている。ナショナルカリキュラムとしての学習指導要領にのっとった授業展開の重要性は述べるまでもないが、「生きる力」の育成には、全国画一的な内容を記した学習指導要領と、それに対応した教科書に基づく学習では限界があるのも事実である。子供たちは、生涯にわたって義務教育を受けた地域で生活するとは限らない。日本は海に囲まれ、地域によっては津波の脅威もあるが、その一方で海の存在しない県もある。また、火山活動が活発だといっても、隣県を含めても火山が存在しない府県もある。そうした状況がある中で、移動の著しい時代、日本列島に発生する自然災害やその防災・減災の理解も重要である。

 一方で、地域を重視した取り組みも不可欠である。阪神・淡路大震災後「総合的な学習の時間」などで、地域の災害が取り上げられることも多くなった。また、各都道府県教育委員会などによって、地域の実情を踏まえた防災教育副読本などが刊行されている。学校ではどの授業の場面や教育活動で活用が可能なのかを認識して指導資料・副読本を作成したり、取り扱ったりしていく必要がある。


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