【激甚化する自然災害に備える(4)】避難訓練のアップデート①見直しのポイント

滋賀大学教授 藤岡達也

この連載の一覧

 近年、さまざまな災害や事故に備えるため、避難訓練も多様化しつつある。基本は、従来から火災への対応であるが、最近では年に複数回の避難訓練を実施する学校が増えている。最初に校内放送から始まる授業中の火災からの避難訓練、次に同様に地震発生に対する避難訓練、さらには休み時間・清掃時間などでの緊急地震速報などを用いた訓練といった段階的な方法である。

 「落ちてこない、倒れてこない、移動してこない」場所へのとっさの避難行動は日常から指導し、教職員は事前、発生直後、事後の対応なども想定しておく必要がある。災害時に教職員が児童生徒の近くにいるとは限らない。その場合でも、児童生徒が自らの判断で適切に行動できる資質を培っておきたい。大阪府北部地震では、発生時刻が午前8時前であったため、教員がいない教室に登校していた児童が驚いて運動場に飛び出し、負傷した事例があった。鳥取県中部地震でも、児童が大きな揺れに慌てて机の下に潜り込んだ際に目の上を負傷したり、運動場へと走って行く際に転倒して指を亀裂骨折したりといった事例があった。避難訓練の在り方も再検討する必要がある。避難経路の動線から、日常の整理整頓の重要性を意識することも重要である。例えば、廊下では棚やキャスター付きのテーブルが避難の妨げにならないか、震動で転倒・移動した場合はどうか、などの検討である。

 海岸周辺の学校では、津波を想定した避難訓練も行われる。その場合は、運動場集合で避難訓練を終わらせるのでなく、高台など学校外への二次避難所も検討し、訓練しておく必要がある。この点は、特に東日本大震災以降、強く求められている。避難は一般的には「おさない」「かけない(はしらない)」「しゃべらない」「もどらない」の「おか(は)しも」が鉄則だが、津波の場合は少し急いで移動することもある。

 最近では、竜巻など突風に対する教室内避難、不審者が侵入した場合の備えなども求められている。教職員としては学校保健安全法にのっとって、日常からの点検も不可欠であり、日々の周辺の整理・整頓も大切である。職員室に限らず書類が散乱している場合は、火災が生じると火の回りが早くなるからである。

 避難訓練においては、学校で学んだことが学校外でも生きることを期待したい。その意味で、校外学習や修学旅行も良い機会である。学外施設については、非常口はどこにあるかを確認したり、消火器や消火栓、AEDの設置場所を確認したりすることも重要である。何より、館内放送や職員の指示に従うことの大切さは、徹底して子供たちに伝えておきたい。


この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集