【激甚化する自然災害に備える(5)】避難訓練のアップデート②実効性を持たせるための工夫

滋賀大学教授 藤岡達也

この連載の一覧

 避難訓練の必要性は理解していても、実際行うと形式的になっていると感じる教職員も多い。そうした中、最近では児童生徒自身の判断力・行動力などを育成するために、教員不在時の休み時間、清掃時間などに緊急地震速報などによる訓練が多く見られるようになってきた。

 しかし、避難訓練などでは、児童生徒だけでなく、災害発生時の教職員の判断力や適切な対応力などを培うことも重要である。場合によっては、校長と教頭のみが実施日時を知っていて、教職員も児童生徒と共にその時々の状況を考えて行動するような訓練も求められる。ただし、教職員の授業計画や戸惑いを考慮すると、このような訓練の実施には、日常からの管理職と教職員との人間関係の構築も必要である。

 学校での避難訓練を参観すると、学級担任などはクラスの児童生徒の安全な姿勢を確認しながら巡視をしている。しかし、教員が落下物などによって負傷した場合、児童生徒が混乱に陥ったり、避難誘導が十分にできなくなったりするため、同時に自らを守る姿勢も大切である。

 また、避難訓練の日が雨天ならどうするかも検討しておく必要がある。地震などは豪雨時に発生しないとも限らない。高校野球では、甲子園常連校の監督が本番を想定して日常から雨天でも練習を行っていたと語っていたことがある。学校でも雨天時の対応も踏まえ、体育館で実施する場合には、事前の状況確認も求められる。

 消火器、消火栓を用いて実際に試してみることも重要である。消火器を使用したことのない教員が多いのはやむを得ない。しかし、火災の発生時に、消火器の使用説明を読んでいては間に合わないため、使い方だけでも理解しておく必要がある。AEDについても同様で、教員研修で実施するだけでなく、運動部など部活動の一環として、学校全体で取り組む意味はある。

 なお、児童生徒、教職員も学校外での生活時間が長く、家庭や地域で自然災害に遭遇する可能性が高い。そのため、学校での避難訓練や防災訓練を自宅や地域でも生かそうとすることの大切さは言うまでもない。教職員も含め、地域の避難訓練や防災訓練にも積極的に参加する姿勢が必要である。中学生や高校生が、災害時に地域にとっても大きな力となることも報告されている。


この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集