【教室の中のLGBTQ(9)】子どもの多様性・教員の多様性~LGBTQ+を知るということ~

公立小学校非常勤講師・プライドハウス東京レガシースタッフ 鈴木茂義
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 教育現場でLGBTQ+の話題になると、とかく「LGBTQ+の子どもたちをどうするか」という話になりがちです。しかし、LGBTQ+であるのは子どもだけではありません。教職員の中にもいますし、フリースクールや子どもの居場所づくりのスタッフの中にもいます。同性カップルで子育てをしている方も、「既に」存在しています(当たり前ですが、そういった子どもや大人を探し当てる必要はありません)。

 私は当初、教員である自分がカミングアウトしたら、当事者の子どもたちからのリアクションがあると想像していました。当事者の子どもから相談されて、自分の経験を話すことができればいいなと思っていました。しかし、実際には子どもからの反応は少なく、子どもに関わる活動をしている大人からの反応の方が多くありました。具体的に「自分も地方で教員をしているゲイですが、学校でカミングアウトすることなんて絶対にできない」「トランスジェンダーであることを管理職に伝えたいのですが、なかなか言い出せない」「性別適合手術を受けて戸籍の変更もしたいが、何からすればよいか分からない」「学校の中でも同僚や保護者から、男らしさや女らしさを強要される」などの声が届きました。

 子どもの多様性や一人一人の中にある多層性について考えることは、大人の多様性や教員一人一人の中にある多層性について考えることと同じだと考えます。私たちは職員室の多様性が感じられているでしょうか。私たちは学校の中で、自分自身の存在が同僚から尊重されているでしょうか。

 このことについて考えるきっかけをくれたのは、採用されたばかりの初任者のA先生でした。ある研修で多様性理解教育についての講演をして、グループワークをしているときのことです。私が様子を見守っていると、A先生が悔しそうな顔をしています。何があったのか理由を聞いてみると、「子どもの多様性と言う前に、大人の多様性が担保されていない。職員室の多様性が担保されていない。若手が何か意見を言っても聞いてもらえないし、意見を取り入れてもらえない」と話してくれました。私はそれを聞いて、胸が苦しくなりました。

 子どもの居場所や学校などの現場は、子どもと大人が集団生活を送っています。その構成員の多様性と多層性に気付き、具体的な言動と仕組みづくりを通じて相手を尊重し合うことが求められます。それが実現している場所にこそ、心理的安全性が根付くのかもしれません。

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