【激甚化する自然災害に備える(10)】教育行政に必要な条件整備

滋賀大学教授 藤岡達也

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 各都道府県において、地域の特性を生かした防災教育を進めていく上で、独自の教員研修や身近な災害を取り上げた副読本の開発も重要な意味を持つ。とはいえ、昨今は教育行政においても予算の確保が厳しくなりつつあり、継続的な地域独自の取り組みは難しい側面もある。

 そうした中、文科省が東日本大震災発生後の2012年度から3年間、実践的防災教育総合支援事業を立ち上げ、各都道府県での活動にとっては、予算的に大きな支援となった。その後、2015年度からは「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」、2018年度からは「実践的安全教育総合支援事業」が展開された。これに応募し、採択された都道府県は毎回40数県に上り、教育委員会の学校安全などを担当する部局にとっては、研修会の外部講師の招聘(しょうへい)、副読本の作成と配布など、学校安全推進の充実した活動ができるようになった。

 また、従来まで各都道府県教育委員会の防災教育に関する取り組みの情報は、なかなか伝わりにくい部分があった。しかし、事業全体の報告書の刊行や年に一度の報告会開催などのおかげで、地域間の情報交換、情報共有がされやすくなったことには、大きな意義があったと考えられる。

 重要なのは、このような国や都道府県レベルの研修に参加した地域や学校の代表者が、どのような形で各地域や学校に情報を還元したり、開発された副読本などを活用したりするかである。受講者だけでなく、校内全体で新たな研修体制や防災訓練・避難訓練などの取り組みが展開されることを期待したい。

 各都道府県で開催される、防災教育や安全教育に関連した研修に参加するのは、学校管理職が多いのも事実である。さらに実践協力校となった場合は、避難訓練や防災訓練などの実践的な展開も実施される。これらの成果なども、同じ区市町村の学校や都道府県全体に還元されるシステムの構築を期待したい。防災教育などを主題とした文科省の研究開発学校の取り組みの成果も同様である。

 学校の校務分掌では、教務主任の他に、生活指導の主任が置かれるケースが一般的である。東日本大震災後、宮城県では安全担当主幹教諭を配置した学校を地域の安全教育の拠点校とし、全ての公立小学校・中学校・高等学校に防災主任を校務分掌として位置付けた。現在、全国の各学校においては、安全や防災に関しては校長や教頭以外に責任者が設置されていないことが多いが、今後は担当者の校務分掌上の位置付けを明確にすることも望まれる。

 (おわり)


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