【高校情報科のアップデート(1)】文部科学省にやって来た

鹿野利春 京都精華大学教授

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 私は2015年の4月から文部科学省に、高等学校の情報科担当の教科調査官として勤務することになった。正確には文科省の建物の5階と6階にある国立教育政策研究所に、高等学校情報科の教育課程調査官として勤務することになった。文科省の教科調査官は併任である。これらの役職は、普通高校で教えられている共通教科・情報科と、専門学科で教えられている専門教科・情報科の2つの教科を兼ねている。

 小学校から高等学校までの全ての教科、特別活動、道徳、総合的な学習などには全て教科調査官がいる。その数は全体で50を少し超える程度であり、学習指導要領の取りまとめは、この教科調査官によって行われる。実際には、文科省内に教育課程課などの担当セクションがあって、そこの職員と協力するとともに、専門家の方々と何度も会議を重ねて作成していく。しかし、形の上では日本全体の初等中等教育の基準を、このわずか50人ばかりの教科調査官が取りまとめていることになる。

 ほとんどの教科調査官は、教科に関連した大学の学部学科を卒業し、教員としてキャリアを重ね、学会に所属したり、優秀な実践を積み重ねたりして、教育委員会などの行政経験を経て教科調査官になる。

 その点で、私の経歴は他の教科調査官と異なる。理学部化学科を卒業して高校の理科教員として勤務した後、15日間の講習を受けて情報科の免許を授与され、その後は理科と情報科を兼任して教えていた。教育委員会にも勤務したが、情報科担当指導主事ではなく、所属は教員指導力向上推進室であり、業務内容は中堅教員の研修設計・実施と教師塾の運営であった。また、現場の教員としての最後のキャリアは、県の高等学校文化連盟事務局長だった。

 これは、情報科自体が2003年から始まったためであり、私の前任の教科調査官は、そもそも情報科の免許さえ持っていなかった。そういう意味では、情報科の免許を持った初めての教科調査官ということになる。

 着任時、他の教科調査官に対して、教科の専門家として尊敬の念を抱いていた。しかし、劣等感があったわけではない。情報科は若い教科であり、内容の進歩が速く、過去の経験が他教科ほどは役に立たない。常に新しいことを取り入れ、教え方自体も変えていかなければならない。新学習指導要領の改訂を行うに際しては、不安より多くの希望があり、周りの期待より大きな目標があったことを告白しておく。

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【プロフィール】

鹿野利春(かの・としはる) 京都精華大学教授。石川県の公立学校で教員として勤務した後、石川県教委を経て、文科省で高校情報科の教科調査官を務める。2022年度からスタートする新学習指導要領の作成に携わったのをはじめ、国の情報教育の施策に関わる。

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