【ヤングケアラーの子どもたち(8)】安心して相談ができる場を確保するために

田中 悠美子 立教大学助教・日本ケアラー連盟理事

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 家族のケアを担う子どもたちが、誰かに相談をしたいと思っても「話しても現状は変わらない」「誰にどう説明したらよいか分からない」「家族のことを話すのは恥ずかしい」などの理由で、相談を諦めてしまうケースは少なくありません。安心して相談ができる場をつくっていくには、どうしたらよいのでしょうか。

 国の実態調査では、家族の世話について相談した経験があるかを尋ねたところ、「ある」が21.6%、「ない」が67.7%という結果でした。「ある」と回答した人の相談相手は、高校2年生では多い順から「家族」が69.4%、「友人」が47.2%、「学校の先生」が18.1%、「SNS上での知り合い」が9.7%でした。

 「ない」と回答した人の理由としては、「誰かに相談するほどの悩みではない」が74.5%、「相談しても状況が変わるとは思わない」が24.1%でした。

 また、埼玉県が2020年に高校2年生を対象に実施した調査では、ケアをすることによる学校生活への影響として、「ケアについて話せる人がいなくて、孤独を感じる」が19.1%に上り、ケアに関する悩みや不満を話せる人の有無を尋ねると、「いる」が58.0%、「いない」が25.4%、「無回答」が16.6%という結果でした。つまり、4人に1人は話せる相手がおらず、自分で対処し、孤立している可能性があると考えられます。さらに、ヤングケアラーが望むサポートについては、「困った時に相談できるスタッフや場所」が16.0%、「信頼して見守ってくれる大人」が14.5%という結果でした。

 一般社団法人日本ケアラー連盟が21年5月に公表した「ヤングケアラー支援のための政策提言」では、ヤングケアラーの相談支援の窓口を明確にすること、安心して話せる環境をつくること、同じ境遇の子どもたち同士が出会えるようにすること(ピアサポートの存在)、地域の中で支援体制を整えていくことが重要であると指摘しています。

 家族の世話や家事などが当たり前になっている子どもは、周囲の人からの声掛けで、自身が負担を抱えていることや生活に影響が生じていることに気付くことができ、子どもらしい生活を見直すことができると思います。また、どんな些細(ささい)なことでもSOSを出してよいと知ること、不満や負担感を話しても大丈夫と感じられる相手に出会えることは、子どもたちの孤立感を和らげることにつながります。そして、「相談するタイミングや相手は、子ども自身が決められる」ことの重要性を周囲の大人が理解していることも大切です。

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