
川上淳子 Edu Support Office代表
この連載の一覧
叱り方を上達させるためにはNGな態度とワードを知り、上手に叱るとはどのようなことかを理解しておくことが大事です。まずは、NG態度です。
【機嫌で叱る】
機嫌や人によって基準を変えて叱るのはNGです。軸がブレていると信頼を失います。ルールを基に一定の基準で叱ることを心掛けます。
【人格攻撃】
自分の思い込みで相手の言動を判断したり、人格や能力、性格を否定したりするのは人格攻撃です。事実・結果・行動・行為・振る舞いについてのみ叱ります。
【人前で叱る】
学級全員の前で叱るのはつるし上げ、見せしめとなります。一対一、フェイス・トゥ・フェイスで対応しましょう。先生自身が冷静に対処するためにも知っておきたいことです。
【感情をぶつける】
「これからが心配だから注意している」という叱り方は、相手に感情をぶつけているだけです。「これから○○してほしい」と相手にリクエストを伝え、感情は言葉にして伝えます。
次に、NGワードです。叱られる立場でNGワードを聞くと、どのような気持ちになるかを試してみてください。どなたかとペアになり、叱る側と叱られる側の役割を交代して演じてみると、文字を読むだけでは気付かなかったことがはっきりと分かることでしょう。
【過去を持ち出す言葉】「前から言ってるけど」「何度も言ってるけど」
いつのことを言っているのか、??られる側が分からないため、反発心が生まれがちです。
【責める言葉】「なんでそうした?」「なぜできない?」
理由を言えないこともあります。小学生は言語の獲得が不十分なので、こうした言葉で問い詰めても答えが得られません。
【強い言葉】「いつも」「絶対」「必ず」
本来100%のときに使う言葉ですが、2~3回でも「いつも」と決め付けてしまいがちです。取り組んでいた数回のことは見ていてもらえなかったと不信感を抱きます。
【程度言葉】「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」
先生と子供の「ちゃんと」の程度が違います。子供は子供なりに「ちゃんと」やっていると思っているのです。
叱り方を学んだとき、親の憤怒の形相に何も言えなかったこと、それなのに教室では傍若無人に振る舞っていたことなどを思い出し、恥ずかしくなりました。そんな私が言えた義理ではありませんが、学校の先生方には私のような失敗をしてほしくないと思います。
「叱らなかったら後悔するかどうか」をキーワードにし、子供たちの言動を変容させられる叱り方を体得されてください。子供たちは真摯(しんし)に受け止め、より良い言葉や行動を選択できるようになることでしょう。
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