【学校のパワーハラスメント(2)】判断のキーワードは「業務の適正な範囲」

労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣

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1 パワハラ判断の戸惑い

 パワハラ防止法で「パワーハラスメントとは何か」については、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を満たすものをいう」と定義されています。

 従って、①~③の要素がそろえばパワハラになるということですが、実際の判断は簡単ではありません。よく取り上げられる「大声を上げる叱責」や「長時間にわたる叱責」であっても、それが果たしてパワハラに当たるかどうかにも戸惑いが生じます。これまでであれば、大声を上げる厳しい教員は、「仕事熱心な人たち」で熱血指導などと称賛されてきたという背景があるからです。

2 職場環境の問題

 従って、そうした言動をパワハラと言えば、「何がパワハラだ」と反発する意見も依然として数多く出てきます。それだけに、行き過ぎかどうかを判断するためには、「指導・教育」と「パワハラ」の境界線が絶えず問題になります。

 今日のように、教育現場の仕事が増え続け、迅速な処理が求められ、ささいなミスも許さない厳しい職場環境がストレスを生み出し、「いら立つ職場」をつくり出しています。お互いが適切な人間関係を保つための距離が取りづらい、息苦しい職場が多くなってきているのです。そうしたことから、パワハラ防止は個人の問題としてだけではなく、学校の環境の問題として捉える視点が大切になってきています。

3 それって仕事と関係あります?

 とりあえず、パワハラかどうかの入り口での判断で大事なことは、そうした場合の言動が「業務の適正な範囲を超えて」いるかどうかです。つまり「それって、教育・指導と関係ありますか?」という問い掛けにきちんと答えられるかどうかがポイントとなってきます。その上で、教員の言動や行為が、指針の挙げる以下の6つの判断類型に該当するかどうかをチエックします。

①暴行・傷害(身体的な攻撃)

②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)

③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)

④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過少な要求)

⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

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