【その指導は、しない(5)】分からないから、教えてください

めがね旦那 公立小学校教諭

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 今回のテーマは「分からないから、教えてください」です。この言葉はとても大切な言葉のはずですが、子どもたちにとっては使いにくい言葉でもあります。

 教室での学びは40人の子どもが1人の先生に教わる形で進んでいきます。だから、どうしても講義形式が多くなります。その結果、1人の子どもの疑問に答えるために、全体の学びを止めるということができなくなります。

 そういった教室での作法を学んだ子どもは、「分からないけど、まあいいや」となってしまいます。でも、分からないことを分からないままにしておくと、次の授業はもっと分からなくなってしまいます。雪の上を転がり落ちる雪玉のように疑問がどんどん大きくなってしまい、最後には「何が分からないのか、分からない」状態にまでなっている子どもが教室にはたくさんいます。

 では、どうしたら子どもたちから「分からないから、教えてください」という言葉を引き出せるのでしょうか。僕は授業の構造から変えていかないと駄目だと感じています。研究授業などで授業の計画を見ると、学習計画が45分の間にギュウギュウに詰め込まれています。先生は教えたがりです。だから、1から10まで全部を伝えたくなってしまいます。

 でも、先生が10まで全部教えたからといって、子どもたち全員が10まで学んだなんて話は聞いたことがありません。ある子は5までしか学んでいないけど、ある子は20まで理解しているというようなことは教室では日常茶飯事です。だから授業には「余白」が必要なのです。5までしか学べていない子に10まで伝えるために支援をしたり、20まで理解している子の話を聞いたりする「余白」です。

 僕は45分の授業を計画するときは、3~4程度の活動を35~40分で計画します。活動の数を少なめに抑えるのは、そうしないとこちらの余裕がなくなるからです。学習計画に余裕が生まれれば、教員は一人一人の子どもとコミュニケーションを取ることができます。子どもたちのノートを見て回って、一声掛けることもできます。そういう機会が1日に何回もあれば、子どもから「分からないから、教えてください」という言葉が出やすくなるかもしれません。

 でも、実はこの言葉を一番使ってほしいのは、子どもではなく先生です。学校の先生は多忙なこともあり、職場で同僚と教育談義ができません。でも実は、自身の実践を高めるヒントは教育書でも偉い先生でもなく、同僚の実践の中にあるのです。どうか先生方も「学習者」として、隣の先生に教えてもらってください。

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