【学校のパワーハラスメント(5)】パワハラ対策にはトップのメッセージが大切

労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣

この連載の一覧

1 訴えの広がりと困惑

 学校のパワハラ対策を進めるに当たって頭の痛いことは、行為者とされる人たちの多くが学校教育に貢献し、業績を残してきた人たちであることです。こうした人たちの指導は、いわゆる「熱血指導」と言われ、これまでは部下指導に高い評価を受けてきました。

 確かに、指導に定評があり評価の高かった人たちが、突然「パワハラ」との指摘を受けることには、多くの人が戸惑います。「昔はこんなことは問題にならなかったのに」と嘆く人が増え、「こんなことをしていたら、学校の運営が立ち行かなくなるのではないか」と、将来に危機感を抱く人も増えています。

2 「ハラッサー」の言い分

 「ハラッサー」と呼ばれ、そうした指弾を受けている当人たちにも、彼らなりの言い分があります。一番多いのは、「どうしようもない教員に声を荒げたり、厳しい指導をしたりすることがなぜ、問題なのか」などという反論です。

 しかし、問題なのは、こうした指導熱心で厳しい指導をする人たちが共通に醸し出す、職場環境に与える悪影響です。その人のやることに誰も口を挟めないような職場環境がつくり出されているのです。

 指導への自信は、「このやり方でできないのはサボっているからだ」「手を抜いている」「ヤル気がない」などという判断に結び付き、果ては「根性がない」などと相手非難になりがちです。その結果、他人の意見を受け入れない、独善性が支配する職場環境が生み出されてしまうのです。

 パワーハラスメントを訴えられた人たちは異口同音に「相手がそんなふうに感じているとは知らなかった」「それならそうと言ってくれれば…」などと言います。こうした主張の中にも、相手の気持ちを理解できない独善性が見え隠れしています。

3 職場の空気を変えるために

 これまでの学校は、ややもすればハラスメントに類する言動が許容されてきた歴史があります。パワハラ的な言動でも、「学校のため」「相手のため」を思ってした言動であれば、許されると理解されてきたのです。そうした経緯から、上層部がこうした行為を奨励・許容していると理解されがちです。

 そこで、ハラスメント対策を始めるに当たっては、まず上層部の姿勢や決意が問われることを前提に考える必要があります。朝礼や研修の冒頭に管理職が繰り返し、パワハラを禁止する姿勢や意見を表明することが、パワハラ防止には効果的です。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集