【その指導は、しない(7)】どうして勉強をするの?

めがね旦那 公立小学校教諭

この連載の一覧

 今回のテーマは「どうして勉強をするの?」です。子どもたちにこの質問をされたことがある先生は多いかもしれません。では、教師としてこの質問にどう答えたらいいのでしょう。

 よくある回答例としては、「勉強をすれば、あなたの人生の可能性が広がるからだよ」でしょう。この意味としては「勉強をすれば偏差値の高い学校に入学でき、就職の際の選択肢が広がる」ということだと思います。つまり、ここでは「勉強=より偏差値の高い学校へ入学するため」ということになります。

 これを真っ向から否定できる人は少ないかもしれません。実際、多くの子どもたちが文字通り「必死になって」勉強するのは、受験という目標が明確に生まれる中学3年生だったり高校3年生だったりします。逆に受験がなければ、多くの子どもたちは「自主的に」勉強なんてしません。

 大人たちは自身が受験をしてきた経験から、子どもたちに勉強の大切さを伝えようとします。しかし、子どもたちは、その話が熱を帯びれば帯びるほど冷めてしまうかもしれません。大人と違って、子どもたちはそんな未来のことなど想像できないからです。

 では、どうして勉強をするのでしょうか。僕も長らくこの答えには窮していたのですが、最近はこのように答えています。

 「それは、あなたがいろいろなモノやコトとつながるためだよ」

 我々が生きる世界は、さまざまな「意味」であふれています。しかし、それらの意味を知らなければ、人はそれらとつながることができず、ただ通り過ぎてしまいます。マンホールが丸いのはどうしてだろう?、太陽はどうなっているの?、海外の人たちはどんな言葉を話しているの?…。

 知りたかったらGoogleで調べたらいいと思うかもしれませんが、意味を知らないことを自分で調べることなんてできません。加えてGoogleは、その人の関心に沿った情報をどんどん提案してきます。そのため、そのままでは自分の関心のある狭い範囲の中でしか生きることができません。

 実は、勉強をすることの意味なんてものは、勉強をする前の人には説明できないのではないかとも考えています。初めからその有用性が示されている商品にばかり囲まれている私たちからすると、「勉強した結果は勉強した後にしか分からない」なんて言われると不安になるかもしれません。でも、そもそも勉強とは「自分の知らない自分になる過程」だと捉えれば、こうした考えも受け入れられるのではないでしょうか。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集