【学校のパワーハラスメント(6)】保護者からのクレームへの対応

労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣

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1 何らかの対応をすることが望ましい

 近年は、学校運営や生徒指導を巡る問題について保護者から苦情が寄せられ、学校がさまざまな対応を求められる場面が増えてきました。そうした苦情がまっとうなものである場合は検討に値しますが、いわゆる「クレーム」と言われる理不尽なものも多く、その対応には悩ましさがつきまといます。

 そうしたクレームはパワハラ規制法の制定場面でも取り上げられ、いわゆる「カスハラ(カスタマーハラスメント)」として議論されました。その結果、「顧客等からの著しい迷惑行為については、指針等で相談対応等の望ましい取り組みを明確にすることが適当である」とされ、使用者がカスハラに対して何らかの対応をすることが「望ましい」とされました。

2 安全配慮義務が求められる

 カスハラはパワハラ防止措置義務の直接の対象からは外れましたが、そうした事態が予測される職場では、前述のように何らかの「取り組み」をすることが望ましいとされています。そのため、教員が保護者からの理不尽なクレームに苦しみ、心身の健康を損ねかねない状況に陥っているにもかかわらず、学校がその状況を放置すれば、安全配慮義務違反の責任を問われる可能性があります。

 保護者からのハラスメントの生じやすい学校では、予測される事態に向けてあらかじめ対応に向けた取り組みをしておくことが求められます。その際は、指針で示されている「望ましい取り組み」を参考にした取り組みが必要になります。

① 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

② 被害者への配慮のための取り組み

③ 顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止するための措置 

3 企業の対応の実際

 こうした指針を受けて企業が行っている具体的な取り組みは、学校での対策を考える上で大いに参考になります。企業が現実に講じている措置としては、以下のようなものがあります。

<企業対応としては>

① 顧客からのクレーム情報の共有化

② 顧客対応を一人に任せず、必要に応じて複数人で対応したり、対応する人を代えたりするなどの人的措置を取る

③ 初期対応から段階ごとに、店長や総括マネージャーが対応するなど、対応レベルを上げて対応する

<従業員へのケアとしては>

① 顧客対応従業員の交替や配置転換

② 従業員のメンタルケアなど

③ 研修の実施やクレーム対応マニュアルの作成

④ 現場対応では、電話の録音、ボイスレコーダーによる記録、防犯カメラの設置など

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