
合同会社かんがえる代表 五十嵐晶子
この連載の一覧
ICT支援員の仕事は学校に行ってみないと分からないことが多く、慣れない環境では戸惑うことも少なくありません。訪問しても何をしてよいか分からず、質問をされてもすぐに答えられないことが多々あります。でも、初日でがっかりしないでください。これまで出会った数多くのICT支援員は、現場で先生と日々コミュニケーションを取り、自分で調べ、実機を触ってみながら環境に慣れ、確実に成長していきました。
しかし、こうした状況はおかしいと思わないでしょうか。ICT支援員の成長が、全て個人の力に頼って任せきりになっているのでは、学校への支援に格差が出てしまいます。
今後、学校のICT利用場面が激増し、ICT支援員が学校訪問時にのんびりしている時間はなくなる可能性があります。勉強したくても訪問時にはそんな時間が取れず、帰宅してからサービス残業で、独学でスキルを身に付けるしかない。そうした状況は、働き方改革を目指す学校の一員としていかがなものでしょうか。
理想を言えば、訪問初日を迎える前にたっぷりと研修を行い、自信を持って訪問してほしいと考えます。しかし、ICT支援員を雇用する仕組みもいまだ十分に整えられていないため、簡単ではありません。
ではどうすればよいか、問題を最低限に抑えるために必要なのは「情報共有と後ろ盾」です。
ICT支援員への事前の研修による「情報共有」としては、以下のようなことが必要です。
○ICT支援員という職務と学校に対する理解
○基本となるアプリケーションの操作研修
また、訪問する学校の以下の情報を共有することも必須です。
○導入されている機器・アプリケーション一覧
○ICT支援員が利用・検証できるアカウント情報
○設定変更やアプリなどのインストールに関するルール
○障害発生時の連絡フロー
また、第4回で書いた「ICT支援員が知りたいこと」は、事前に伝えていないとトラブルになります。
もう一つ大切なのが「後ろ盾」です。それはICT支援員を取りまとめて、教育委員会・ベンダー・各メーカーと情報共有ができる、支援員のよりどころとなるものです。ICT支援員が安心して働くために、困ったら頼れる場所をつくることが大切です。
研修は初回だけでなく、定期的に必要な事を学べるように計画したり、支援員の疑問を調査したりすることも大事です。また、委員会やベンダーなどに問い合わせをする場所をつくれば、ICT支援員の成長は個人に任せるよりずっと早くなるでしょう。