【その指導は、しない(9)】家庭環境への配慮

めがね旦那 公立小学校教諭

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 今回のテーマは「家庭環境への配慮」です。子どもたちは多種多様な家庭環境で育ってきています。しかし、学校教育ではこの事実が忘れられてしまっているかのような教育実践が散見されます。

 皆さんは「二分の一成人式」という実践をご存じでしょうか。10歳を迎える4年生で行われるこの実践は、「保護者への感謝」という目標の下で活動が設定されがちです。多くの保護者からすれば「今まで育ててくれてありがとう」という手紙を我が子からもらえたら感涙ものでしょう。子どもはそういう機会がなければ手紙なんて書いてくれないものです。

 しかし、全ての子どもが、保護者に感謝の気持ちを持てると言い切れるでしょうか。家庭環境はブラックボックスです。その子と保護者との関係は、多くの先生たちがつい抱きがちな「円満な家庭」とは程遠い可能性だってあります。

 「ステップファミリー」という言葉を、聞いたことがない先生は多いかもしれません。もしかしたら、クラスの子どもが虐待を受けている可能性だってあります。虐待に関わる事件は、いつだって「そんな事態を把握していなかった」という言葉とともに語られがちです。

 道徳の教材にも注意が必要です。家族が登場する題材の場合、「両親と兄弟がいる」という前提で題材が描かれることが少なくありません。配布物を配るときに「お母さんに渡しておいてね」という声掛けもよく聞きますが、僕は過去に「父子家庭」の子どもを担任したことがあり、その言葉の配慮のなさに気付きました。過去には、おばあちゃんに育てられている子どももいました。この場合、正解は「お家の人」となります。

 時期的な話ですと「クリスマス」や「お年玉」の話題にも注意が必要です。クラスの子どもたち全員が「クリスマスプレゼント」や「お年玉」をもらえるわけではありません。宗教的な理由からクリスマスを祝わない家庭だってあります。家庭の事情を全て把握した上で、子どもたちに話をするのは現実的ではないので、しない方が無難かもしれません。

 ただ、こうしてしゃくし定規に線引きをしてしまうと、先生も子どもたちもギスギスしてしまいます。大事なのは「想像力」です。先生の言葉というのは、先生が想像している以上に子どもたちに影響を与えます。自身の言葉が子どもたちに与える影響を常にチェックできるようになれば、それが子どもたちを大事にしていることになるのかなと、いつも自分に言い聞かせています。

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