【学校のパワーハラスメント(9)】「歩くパワハラ」には「通知」で対応

労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣

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1  「歩くパワハラ」への対応

 俗に「歩くパワハラ」と呼ばれている人がいます。こうした人たちは、一般的に仕事の経験が豊富で、それなりの立場にあることが多く、部下たちは苦情も言えずに悩まされています。窓口に苦情が寄せられたとしても、「報復が怖いので名前は出さないでほしい」というような匿名の訴えになりがちです。

 こうした匿名での訴えには、どのように対処すればよいのでしょうか。考えられるのが「通知」という手法です。

2 「通知」という手法

 「通知」は、相談者の被害申し立てを受け、行為者に対して注意喚起や教育的指導を目的に申し立て内容を通知することを言います。相談者の安全を守るために原則として匿名性を守り、プライバシーの保護に努めます。

 通知というのは、行為者に対して「あなたについて、こうした苦情が出されているので注意をしてほしい」という注意喚起を目的に行われます。以下、実際のやり方と注意事項に触れておきます。

①通知は原則として相談者が特定されないように匿名で行うものとし、相談者の安全とプライバシー保護のために最大限の配慮(通知内容から被害者が特定されないように申し立ての事実の全てを伝えないなど)を行います。

②通知は、原則的に行為者本人だけに行われますが、場合によっては、行為者の上司などの関係者に立会を求めて行われるケースもあります。(上司の監視が必要とされるようなケース)

③通知の内容は、申し立てられた被害内容を行為者に提示して、注意を促すことを目的としていますので、基本的には一方的な通知だけで完結します。

④行為者が通知内容について了解すれば、通知はそこで終わります。しかし、行為者に異論、反論がある場合、意見を述べる場合には、意見の記録を残し、後日への資料とします。

⑤被害申し立て者に関する詮索、嫌がらせ、報復などの行為については禁止されていることを伝え、これに違反した場合には処分があることを伝えます。

3 行為者に気付きを与える

 通知は、訴えが事実かどうかの調査などは行わずに、あくまで被害申し立てのあったことだけを伝えて注意喚起をするものです。従って、「事実確認をしたわけではない」「あくまで注意喚起であって処分ではない」ことなどを相手に伝えて受け入れやすい環境をつくり、本人の自覚を促すという丁寧な対応が大切です。

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