【学校のパワーハラスメント(10)】お互いの言い分が違う場合は「調整」で解決

労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣

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1 仕事上の注意で性格のことまで言われたくない

 相手のためを思ってする指導・教育、俗にいう「熱血指導」については、「多少の行き過ぎは認められる」という理解がなされてきました。「俺も言いたくはないが、お前のためを思って厳しく言うんだ」という考え方です。こうした叱責(しっせき)に対しては、受ける側も「ミスをする私が悪いので仕方がない」と受け止めるかもしれませんが、「顔がむかつく」「そのグズな性格を直せ」とまで言われれば、納得がいかないという話になります。

2 コミュニケーション・ギャップ

 パワハラの原因で一番多いのが、「コミュニケーション・ギャップ」と言われる事例です。典型的なのは、言われた方が「あそこまで言われたら我慢できない」と訴えてくるのに対し、言った方は「彼(彼女)のためを思って言った」と主張を繰り返すケースです。

 職場でのパワーハラスメントで、初めから「相手を辞めさせよう」「駄目にしてやろう」などと悪意のあるケースはまれだと思います。それが感情的な対立にまで発展してしまうことで、相手を「処分してほしい」「クビにしてほしい」などという話になってしまうのです。

 こんな状況になっても、冷静になれば「話して分かり合える」ケースが決して少なくありません。そこで、話し合いで積極的な解決を求めようというのが「調整」という解決手法です。「調整」は、トラブルの早い段階での対応が効果的です。

3 コミュニケーション・ギャップは「調整」で解決

 コミュニケーション・ギャップに起因する場合は、双方が自分の側の問題点を理解しており、言葉の行き過ぎや感情のもつれが原因です。そのため、第三者が入ることで双方が冷静になり、「調整」が可能となります。「調整」のメリットは、当事者同士ではなかなか解決できない双方のコミュニケーション・ギャップを第三者が入ることで和解できる環境をつくり、合意形成を図ることができるという点にあります。

 「調整」は、次のような手順で進めます。

 まず、相談員が両当事者からのヒアリングを重ねます。調整は、あくまで両当事者の円満和解を目指して双方の意見を聞き、そこにある誤解やわだかまりを解消することを目指します。調整の結果、円満に和解が成立した場合には、後日のために相談員立会による和解文書の作成を行います。

 (おわり)

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