【ジェンダー教育と教師(2)】学校に数多く存在する「性別」

宮崎公立大学准教授 寺町晋哉

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 赤ちゃんを見掛けたとき、「性別はどちらですか?」と尋ねた(尋ねられた)経験はあるでしょうか。そして、なぜ「性別」を尋ねるのでしょうか。

 同じ赤ちゃんを「女児」と紹介するか、「男児」と紹介するかによって、大人から赤ちゃんへの働き掛け(声掛けや遊び)に差が見られる傾向を明らかにした「ベビーX実験」という研究があります。つまり、「性別」という情報があるだけで、赤ちゃん(他者)への働き掛けが異なってくるのです。赤ちゃんの「性別」を把握できたとき、同じしぐさであっても男児の「特徴」を「発見」し、「やっぱり男の子だから~」と声を掛けたり、女児が「喜びそうなもの」であやして「やっぱり女の子は〇〇が好きなんだね」と認識したりするかもしれません。私たちは赤ちゃんの頃からそうした「ジェンダー・メッセージ」を浴び続けながら、成長していきます。大人からの働き掛けだけでなく、環境やメディアからも同様のメッセージは発信されています。

 学校教育に目を向けても「性別」情報は数多く存在します。学校指定の持ち物、制服、教室での席配置や整列、ロッカーや靴箱、名簿、体育の授業、テストの平均点など、至る所に「性別」情報が用いられ、区別されています。

 先生からの働き掛けにも「性別」情報は存在します。「男子(女子)こっち来て」といった声掛けは集団をコントロールするための「道具」であり、「男女で異なる扱い」を意図している先生はほとんどいないかもしれません。しかし、並んで歩く、作業のために呼ぶなどの活動において「性別で分ける」必要性はそれほど高くないでしょう。また、子どもたちを「性別」で分けることが日常的な場合、気付かないうちに「ジェンダー・ステレオタイプ」が表出することもあります。例えば、重たい荷物を運ぶときに、つい「男子手伝って!」と声を掛けるようなケースです。

 子どもたちは学校で過ごすことで、数多くの「性別」情報に触れ、その都度「性別」を認識させられます。また、「性別」情報によって先生からの働き掛けに差が生まれる可能性もあります。第3回では、子どもたちが「性別」を認識することや、「性別」によって先生からの働き掛けに差が生じることで、教育の「結果」に影響を与える可能性について書いていきます。

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