【GIGAスクールは序章に過ぎない(1)】デジタル庁が示す教育デジタル化

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 「GIGAスクール構想」の下で、学校現場のデジタル化が急速に進んでいる。教師と児童生徒との距離が近くなり、子供たちの学習への興味・関心や理解が見違えるほど進んだといったうれしい事例も多く聞くようになった。一方で、何をするか試行錯誤が続く現場もあれば、使い方さえ分からず、子供たちが取り残されている現場の話も聞く。

 デジタル化によるこうした混乱は、当然ながら学校現場の意識だけによるものではない。保護者の意識、後手に回った自治体や行政の対応、企業の対応の遅れなど、日本社会全体のデジタル化の遅れに起因する。

 今回のコロナ禍で、教育のみならず日本社会全体のデジタル化への遅れが浮き彫りとなった。危機感を持った当時の菅政権は、デジタル社会形成の司令塔の創設を目玉施策の一つとして打ち出した。その結果、昨年9月に政府に「デジタル庁」が発足した。デジタル庁は我が国のデジタル社会形成の司令塔として、各省が進める施策を束ね、社会全体のDXの足並みをそろえることをその任としている。教育も医療や防災などとともに準公共分野と位置付け、関係府省とともに「教育データ利活用ロードマップ」の策定を進め、今年1月7日の公表に至った。

 このロードマップは各省や民間が教育分野のデジタル化、教育データの利活用を具体的にどう進めるのか、その道しるべとなるものである。興味深いのは、GIGAスクール構想は初期の段階にすぎないとして、今後の教育DXの目指す先が示されていることである。「デジタル」に苦手意識がある教育関係者は、どうしても文科省からの具体的な指示だけを見て対応しがちである。しかし、社会全体の根本の思想や大きな流れをつかんでいないと進むべき方向を見失ってしまう。

 GIGAスクール構想が立ち上がった際の文科省の担当者で、今はデジタル庁のアドバイザーである筆者が、GIGAスクールとその先の教育DXを成功させるため、教育関係者が多い本紙読者の方々にもデジタル庁からの情報にも目を向けてほしいと考えていたところ、教育新聞社のご厚意で連載の機会をいただいた。

 これから10回にわたり、このロードマップには何が記載されているのか、その思いは何かなど、政府が考えるデジタル化の視点をできるだけ分かりやすく紹介したいと考えている。時に個人的な見解が入ることにはご容赦いただきたい。できればデジタル庁ホームページに掲載されているロードマップを傍らに読んでいただければ幸いである。

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【プロフィール】

髙谷浩樹(たかや・ひろき)
岡山県出身。大阪大学大学院工学研究科終了後の1994年に官界に入り、主に文科省で研究推進政策の企画立案を担当。2018年10月から約2年間、文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長として「GIGAスクール構想」の立ち上げに携わる。現在も研究所兼務の傍らデジタル庁通じ教育のデジタル化に関わり続ける。

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