【GIGAを徹底的に使い倒す(8)】デジタルコミュニケーションの長所と短所を経験する

為田裕行 フューチャーインスティテュート株式会社代表取締役

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 コンピューターやスマートフォンなどの情報端末を介したメッセージのやりとりは、社会に普及してきています。しかし、「GIGAスクール構想」で配備された1人1台端末をデジタルコミュニケーションのツールとして使っている学校は、まだ少数派だと思います。

 「SNSは危ない」「チャットは危ない」と危険を強調し、「危ないから使わせない」とすれば、問題は起きないかもしれません。しかし、結果的にいつかデジタルコミュニケーションをするようになる子どもたちは、その長所と短所を学ばないまま使い始めることになります。

 授業で意見を出し合い、皆で練り上げていく活動を通して、協働の良さを知り、多様性を受け入れられるようになるのと同様、教室でデジタルコミュニケーションをする活動を通して、コミュニケーションの力を育てていくことが大事なのです。

 私は、授業支援ツールのコメントやチャットの機能を使った授業をしています。最初は子どもたちが意味のない文字列をたくさん入力して面白がったり、言葉足らずのコメントで相手に嫌な思いをさせたりすることもありました。口頭で言われるときのように表情や声色などのニュアンスがなく、文字列だけで「やだ」とか「違くない?」と書かれていると冷たく見えるため、「先生、こうやって書かれるの嫌だ」と泣いてしまう子もいました。これらは、短期的にはデジタルコミュニケーションの実践における短所に見えると思います。

 しかし、授業の中で先生と子どもたちが一緒にデジタルコミュニケーションをする日々を続けていくことで、良い面も見えてきます。他の子からコメントをもらえることで自信を持てた子もいました。口頭でのコメントではなく、デジタルで入力するからこそ、「じっくり考えられて好き」と言う子もいました。

 大切なのは、子どもたちがデジタルとアナログのコミュニケーションの長所と短所、それぞれの特性を理解できるようにすることです。伝え方も受け取り方も、デジタルとアナログでは少し違います。短期的には短所ばかりが目立ち、先生方も大変かもしれませんが、長期的には子どもたちが長所を見つけ、使えるようになっていきます。

 そうした活動を最も効果的に支えられるのは、教室で日々一緒に過ごし、子どもたちのことを見ている先生方だと思います。教室に1人1台の情報端末が入った今こそ、デジタルコミュニケーションを学校で学ぶ意味があると考えます。

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