【GIGAスクールは序章に過ぎない(2)】デジタル庁が示すデジタル化とは

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 教育現場には、ICT環境整備が終わったと思ったら、次から次へとICT利活用施策が打ち出され、困惑しているところもあると聞く。デジタル化は段階を踏んで進むものだが、この段階が見えていないと目先のやることに追われ、デジタル化の便利さが実感できない。

 現在、多くの学校では1人1台端末を使ったやりとりや学習ツールなどの活用が始まっているような状況だろうと思う。これはデジタル化の世界では、従来の紙などアナログでのやりとりがまずは電子化されたという「デジタイゼーション」と呼ばれる第1段階である。この段階では、むしろ以前よりもやることが増えたと思われるかもしれない。世間でも、ただ書類を電子化しただけで終わる「なんちゃってDX」が数知れない。

 今回デジタル庁が示したロードマップでは、便利さが実感できる「デジタライゼーション」と呼ばれる第2段階を主なスコープとしている。そもそもこのデジタライゼーションは、データのデジタル化に合わせて業務プロセス自体を変革・最適化する、「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」(BPR)を実現させる段階を意味するが、教育においてもこの考えがデジタル化の成功において欠かせない。

 私が経験した簡単な実例から説明する。従来、文科省から全国教育委員会への連絡は、まず文科省の講堂で都道府県教委の担当者に向けて資料を使った説明会を開催し、各担当者がその内容を持ち帰って市区町村教委に伝えていた。この資料を紙からデジタルコンテンツにしたのがデジタイゼーション。一方、このやり方自体をデジタル技術で見直し、文科省からオンラインで直接市区町村教委の担当に伝えるようにしたのがデジタライゼーションである。簡単そうだが、変更には予想以上の戸惑いの声が寄せられた。

 教育では、このデジタライゼーションをICTをフル活用して学習者主体の学びへの転換や教職員が子供たちと向き合える環境を目指す段階とし、その目的を「誰もが、いつでもどこから、誰とでも、自分らしく学べる社会」としている。まさに中教審答申にある、令和の日本型学校教育の「個別最適な学び」「協働的な学び」の実現につながるものである。次回はこの教育の姿をより具体的に見ていきたい。

 なお、ロードマップでは、その先の「デジタルトランスフォーメーション」も視野に入れている。デジタル社会へ進む中で教育はどうなっていくのか。本連載の最後で軽く触れたい。

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