【GIGAスクールは序章に過ぎない(3)】教育ロードマップで目指す未来の教育の姿

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 デジタル庁が示した教育データ利活用ロードマップでは、いつ何ができるようになるかを、2022年までの「短期」、25年ごろまでの「中期」、30年ごろまでの「長期」に分けて具体的に示している。

 短期的には各種調査や手続きのオンライン化、校務のデジタル化が想定されている。まずは忙しい教職員の業務の徹底的な効率化が進められるべきである。便利にならないものを積極的に使おうと思うはずがない。そのためには、前回紹介した業務プロセスの見直しの視点が絶対に欠かせない。

 中期の25年頃までには学習者が端末を日常的に使うようになり、学びの記録(ログ)も収集できるようになると想定している。文科省はこれらの実現のキラーコンテンツともいえる学習者用デジタル教科書の24年度本格導入を目指している。あと2~3年後に迫っている中、準備や現場への周知を考えると、躊躇(ちゅうちょ)したり様子見に徹したりしている暇はない。

 長期の30年頃には、児童生徒が生涯にわたり自らの学びのデータを蓄積し、活用できるようになる。ロードマップには学習者や教員、保護者等々、それぞれの関係者から見た将来イメージが挙げられている。例えば、教員の立場では学級全体の児童生徒の状態が分かるようになり、これまで先輩教師の勘に頼っていた指導の効果が見えて改善につなげられるなど、校務のみならず指導も見違えるように改善される。

 気付いていただきたいのは、この未来の姿の実現には何らかのデータの利活用が前提であるということだ。データはヒト・モノ・カネに続く第四の資産とも言われる中、データ利活用というのは21年6月の教育再生実行会議の提言にある「データ駆動型教育への転換」と完全に重なる。

 ロードマップではこのような教育の姿を実現するため、ミッション・ビジョンを取り巻く構造というイメージ図を示している。デジタル化により行政データと学習データなどこれまでなかったさまざまなデータの組み合わせが可能になる「組み合わせ」、これまで経験に頼っていた非認知能力などをデータ化できる範囲が広がる「スコープ」、バラバラでなくデータの整理標準化を通じて組織や時間を超えた利活用が可能になる「標準化」がポイントである。この構造は教育以外のあらゆるデータ利活用にも当てはまるもので、デジタル庁ではデータ戦略推進ワーキンググループの場などで議論を進めている。

 次回はこの教育データについて具体的な流通の姿を紹介する。

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