【GIGAスクールは序章に過ぎない(4)】教育データの流通の姿

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 本連載ではこれまで、教育DXにはデータ利活用が要であることについて触れてきたが、実際にデータを利活用するためにはさまざまな事項が複雑に絡み合っているため、まずは全体をいったん整理するのが分かりやすい。そこで、階層化という手法を用いて取りあえず整理してみたのが、デジタル庁のロードマップにある、初中教育と高等教育の「アーキテクチャ」という図である。一見多くの項目が線でつながれていて、難しそうにも見える。

 この図は、まず同じ目的や機能となる項目(コンポーネント)を一つの層(レイヤー)にまとめ、そして上位の層にとって必要なものを下位の層に順番に重ねていき、さらに関連するものを線でつないで階層構造にしたものである。

 このように項目を分けて整理した上でデータ化を進めることで、整備が必要な機能を一つの階層の中の項目として特定でき、場合によっては他から使い回すこともできるなど、効率的に進めることができる。また、将来の技術の進化により高度化すべき項目も限定されて拡張性が高まる。この項目自体、今後大きく変わっていくことが前提だが、さらにデジタル庁では、この階層を統一した上で健康・医療・介護、防災、農業、インフラ、スマートシティなども整理を進めている。その結果、国としてさまざまな分野のデジタル化を一体的に進めることが可能となる。

 この階層化というのは便利な整理法で、IT分野では通信をはじめさまざまなところで使われている。

 学校現場などで利用する際は、この階層を意識する必要は全くない。一方でデジタル化の整備推進に関係する者は、まずは層構造で整理できることだけでも理解してほしい。自治体でもさまざまな分野でデジタル化が進められる中で、他分野との連携や他の項目の再利用など、効率的な整備活用につなげられる。

 さらにロードマップでは、データの蓄積や保存についても整理している。これとアーキテクチャから分かることは、蓄積や保存は分散管理が基本であり、一部誤解されていた「教育データは国が一元管理」ということが、いかに非効率で荒唐無稽な話であるかということである。

 教育分野はGIGAスクール構想でICT化が急激に進んでいる特異な分野である。これだけ複雑化する中、整備は「学校教育」だけに閉じるのではなく、効率性や汎用(はんよう)性、拡張性を考えて、階層や項目ごとに強み、弱みを理解した効果的な整備を行うことが、現場側にも企業側にも求められる時代である。

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